米国内科学会(ACP)とDynaMed・MKSAP
いつもの前置き
はい、セレンです。
ブログとは関係ないのですが、最近知人のつてで、
医学教材の作成バイトの話を頂き、参加させてもらうことになりました。
ブログも始めたばかりですが、いつか、ここから仕事とかいただけるようになったら嬉しいなと思いつつ今日も書いていこうかなと思います(笑)。
今日は雑談ですが、勉強大好きで英語文献とかに挑戦したい医学生にとっておきの内容となっております。お医者さんの先生はご存じの方も多いかなと思いますが、
勉強に対してやる気がありそうだけど、ACPとDynaMed知らない医学生に教えてあげてもらえたら嬉しいです。
ACPとは
American College of Physicians (ACP)の略で、日本語では米国内科学会と表記されます。
アメリカの医師の組織の中では2番目に大きい組織だそうで、
あのJAMAを発行するAmerican Medical Association (AMA)に次ぐ組織らしいです。
このACPですが、日本支部もあり、
日本人医師や医学生向けの勉強会企画があったり、学生でもインターンに参加している人もおります。
外国の先生方の指導を受ける機会もあり、様々な方面で繋がりを作るうえでは非常によいです。
学生会員は所定の書類を郵送すれば会員費は無料なので、USMLEや臨床留学、医学英語に興味のある学生は是非参加することを勧めます。
研修医以降は、会費が必要になるみたいなのですが、DynaMedが利用できる点とMKSAPの購入時の割引など考えると悪くないのかなと思います。
ちなみに米国会員になるのも手で、
学生会員は無料でしかもネットの手続きだけなので、英語での申し込みが億劫でさえなければ日本支部会員に申し込むより簡単です。
会員費ですが、
・学生は無料
・研修医は$119
・医師はPGY8まで$260 PGY9以降$550です。
せっかくなので、登録用のリンクを貼っておきます。
学生の方は登録の申し込みは5分程度で終わりますし無料なので是非お勧めします。
DynaMedとは
多くの方はすでにご存じだと思いますが、
DynaMedは、医学系ジャーナルや国際的ガイドラインといった様々な情報源から最新のエビデンスを集約した、臨床レファレンスツールです。
Up to Dateと似ており、日々発信される臨床情報の中で専門家が有用と判断したものを取り入れ更新し続ける電子教科書ですね。
Up to Dateに比べると、DynaMedは端的に事実を述べるような文章が主体でUp to Dateの叙述的な表現が少ない印象です。
初学者はUp to Dateの方が理解しやすいかもしれません…。
普通の医学部はUp to DateかDynaMedを契約してくれていますし、
基本的な臨床研修病院でもどちらか契約していることが普通だと思いますが…
弊大学では、学生の要望として契約を学生と学部長の話し合いに提案したら、Up to DateやDynaMedとは何ですか?ととぼけた内容が帰ってきたので諦めましたが…
日本と米国の臨床的な違いこそあれども、Up to DateもDynaMedも常に更新され続ける教科書なので初期研修になってもどちらかを使うんだろうなと思いますが、
Up to DateとDynaMed
どちらを契約している病院が嬉しいか?と聞かれると…
迷わずUp to Dateと答えます。
というのもACP会員は無料でDynaMedが見れるからです。
(少なくともACPの米国本部会員になってしまえば学生会員でも無料です。)
DynaMedの通常の購読料金は以下の通りで
Up to Dateは研修医と医学生が以下の料金で
専攻医以降は
高いですよね…Up to Date それだけ有用なツールなのだと思いますが…
施設で購入するのはさらに高いのかもしれませんが…
というわけでUp to Dateは高いから自分で買いたくないけどACPに入会するつもりはあるので、DynaMedは施設で契約しているか気にしていないのです。
DynaMedはACPに登録するつもりさえあれば読めてしまうからです。
MKSAPとは
MKSAPとは
1967年に創刊されたMKSAP(Medical Knowledge Self-Assessment Program)は、内科系領域のサブスペシャリティを網羅した自主学習のための教材です。研修医や臨床医が必要とする最新の情報を得るための学習システムとして、世界中で標準的な生涯学習教材として活用されています。
という如何にも凄そうな内科の教科書ですね~
二年に一度新しい版が出るのですが、つい先日、米国時間8/31にMKSAP19という新しい版が販売されましたね…
というのでかって先日腎機能についてMKSAPの教科書で勉強したわけですが…
このMKSAPもACP会員は割引が適応されるんですね…
日本国内の販売では、南江堂さんが代行?してくれているようで
背筋が凍りそうな値段ですよね…
しかもプリント版てアメリカから輸送なので、コロナの影響などで輸送が遅れるかもしれないんですよね…
一方でACPの米国サイトから
$1いくらだったかなとか気にしてはいけませんね
中抜きは日本のお家芸
南江堂さんはACPの非会員価格なので会員価格は同じかもしれません…
一応フォームをクリックすると
このように出てきますが、私は、ACP経由で買った方が安いだろうなと思い直接
MKSAPを購入しましたが、
南江堂経由のほうが日本語で対応してもらえますし、ツアーガイド的な意味で手数料取られるのも仕方ないのかもしれませんが…
私は8/31の発表前割引もあったのであれですが
これがACP経由で買ったMKSAPの料金で
同じMKSAPをACP割引なしで南江堂経由で買うと
2倍くらい違うやんと(笑)
10万円と聞くと学生が気安く買える代物ではないですが、
$469なら、Medic mediaのQB国試をそろえるより安いですね(笑)
ということでQB国試を買わないでMKSAPに課金しました(笑)
国家試験受かるか不安はありますが…
ACP会員の他の利点は自分では使いこなせていないので、まだまだ、甘いというご指摘あれば教えていただきたいですが、学生は無料なので
日本会員はもちろんのこと米国会員に登録することをお勧めします。
あとMKSAP滅茶苦茶楽しいです。
執筆も忙しくて最近はあまり解けていませんが
一日20問くらい解けたらいいなと…
(国家試験解く時間がないのが悩みです(笑))
臨床的腎機能評価①(MKSAP19)
いつもの前置き
はい、セレンです。
昨日から、待望のMKSAPを始めています。
Step2CKと似てるなぁという雰囲気もありつつ
テスト独特の引っ掛けるための悪意がなく、
臨床で、何を重視すべきか?みたいなポイントが凝縮していて非常に面白いです。
MKSAP19のPartAというか前半部分が
米国時間8/31にリリースされて
全ての機能は2022/1/31に使用可能になるみたいです。
ちなみに現在は
消化器(消化管と肝臓)
総合内科(前半)
腎臓
神経
腫瘍
の6パートですね…
最初はこのブログでも取り上げようと思ったOncologyからと思ったのですが、解いている段階で、米国と日本の腫瘍診療の違い的な側面を強く感じて、国家試験に悪影響なのでは?と思い至り、まずは
腎臓、神経、消化管、肝臓あたりから行こうかなと…
USMLEで体験したように感染症も日本国内でまず見ない疾患も多そうだなぁと予想されるので、国家試験が終わったら楽しみたいかなと…
本題の腎機能からですね。
Pub Medで調べたり、ハリソンを引いていても、腎臓を考えるうえでAKIとCKDに分けて考えていましたが
MKSAPでは腎機能とは、どう考えるべきかという基礎医学的な側面を理解して考えようという姿勢が非常にいいなと思い
共有させてもらいたいなあと思いました。
ブログと著作権上の関係でどこまで載せていいか非常に議論が分かれるところもあるなぁと思いつつ
抜粋して書いていこうと思います。
参考文献はMKSAP19 Text - Nephrology - Chapter1 Clinical Evaluation of Kidney Funcctionです。
気になった方は是非ACPに登録して割引を受けてMKSAPを購入していただければと思います。
(後日MKSAPを割引を受けて買う方法とACP入会とその特典をまとめたいと思います。)
⇒9/3まとめてみましたもしよろしければご一読ください
腎機能については
以前のブログでも紹介していますが
腎臓の役割からみた熟知したいポイント
腎臓は大事な臓器だなと思いながらも、膨大で無限のように増え続ける現代の医学を学ぶ上では、
臨床医としては、介入することで患者が得られる恩恵と
介入しないことで患者が被る損害を知りそれらが多いことこそ熟知すべきと考えます。
・腎機能は基本的に回復することはない
・腎機能低下には自覚症状はない
・腎臓は生命活動の重要なポジションを担っており、腎機能が代償できなくなると、電解質、酸塩基平衡が崩れ致死的となり、老廃物が蓄積して全身臓器の状態を悪くする。
・腎機能が代償できるうちは良いができなくなると、介入は腎移植や透析に限られる
・腎機能低下の原因によっては、取り除いたり治療することで、腎機能低下が抑えられる。
つまりは
A:自覚症状がない、早期の段階で腎機能障害を見つける
B:腎機能低下に対して、介入できる原因であるかを精査し治療・介入する
C:荒廃してしまった腎機能に対しては代償療法を提供する
が主に医療者の役割で
Cは透析を専門に行う腎臓内科や腎移植を行う泌尿器科医が専門とする部分が多いですね、基本的にAとBを深く理解して、Cについては専門家にコンサルしつつ。その患者の注意すべきポイントや合併症についてはきちんと見ていきたいと考えますが…
臨床的な腎機能について
教科書的には
腎臓には多くの機能があり
①水・電解質の調節
②酸塩基平衡の調節
③蛋白質代謝産物の排泄
④ホルモン分泌
とありますが、
実臨床では、Creの上昇≒腎機能障害となっているのではないでしょうか?
おそらく国家試験レベルではそれでよいですし、Creの上昇=腎機能障害とされるのが現場の一般常識なのかなと臨床実習でも感じました。
全身の臓器不全を評価するSOFA scoreでもCreみますからね…
教科書には腎臓は蛋白濾過だけでなく、内分泌や電解質の調整に関わり、貧血や高血圧、電解質異常の鑑別にも腎臓の機能障害は上がりますが、そのほかの原因も関わってくるため、単純に腎臓の機能だけを評価したいとなれば、③の機能いわゆる糸球体濾過量を評価することが多いのかなと思います。
一方ではAKIとCKDの診断基準からみると
・Creとそれを利用し計算したeGFR
・尿蛋白や血尿、尿量の減少という尿の検査
が指標とされていますね…
言われてみれば、健康診断で毎回尿検査するのも納得ですよね…
尿所見の異常から腎臓に異常がないかを確認しているのですね…
みなさんご存じだと思いますが
Creの上昇は糸球体ろ過を示唆するが、
・Creの上昇があるから、腎臓に問題があるわけではない
・Creの上昇がないから、腎臓に問題がないわけではない
ということを改めて理解するいい機会となりました。
腎臓も肝臓とともに沈黙の臓器と呼ばれていますが、
自覚症状が基本的にない臓器なんですね…(腎後性で水腎症など起こせば自覚症状が出るでしょうが…)
腎機能障害の早期発見
これは、先にも述べましたが
・血液検査の異常
・尿検査の異常
から沈黙の臓器とうたわれる腎臓の障害を見つけるわけです。
血液検査の異常では
Cre、シスタチンC、BUNが指標になります。
Creは最も一般的で臨床医が好んで使う指標なのではないでしょうか?
以前の記事で書いたように、筋肉量や体格に影響されますが
一般的に使われておりよいのかなと
前回の記事では触れていませんでしたがMKSAP19のNephrology Q55の問題で
・クレアチニンは近位尿細管からも排泄される
・特定の薬剤などは近位尿細管からのクレアチニン排泄を低下させる
⇒特定の薬剤(シメチジン、トリメトプリム、一部の抗HIV薬)を飲んでいる患者で、Cre上昇を見た場合の対応というテーマでした
抗HIV薬使用後1-2週間で0.2-0.3㎎/dlのCre上昇は、糸球体機能の低下でないことが多いと
腎機能低下を考えて投薬など考えるのであれば、シスタチンCなどを測定して本当に腎機能低下があるのか様子を見るべきという問題でした。
ここでシスタチンCですが、そもそもなんやねんという話ですが、
あらゆる細胞の核で作られた産物で、腎臓で濾過されることから、Cre同様にGFRを推定するのに使用できます。
同様に年齢や性別は使用しますが、筋肉量の影響を受けにくいことから、小児などでよく使われますが、Creで性格に腎機能を図れるかどうか不安な時に使用するのがよいのかなと思いました。
欠点としては、急性炎症や感染症、悪性腫瘍、甲状腺機能亢進症などで増加するためその点は注意すべきと感じました。
MKSAPの問題ではHIV薬内服中患者にシスタチンC測定を考慮するものでしたが、
日本ではHIV患者は地域にもよりますが少ないため見る機会は少ないかなと思いましたが、ステロイド内服などで予防的ST合剤内服中患者のCre上昇を見た際に薬剤性腎障害か、トリメトプリムにともなうGFRに影響しない見かけ上の上昇か調べるためにシスタチンCの測定が有用かもしれないという点は非常に勉強になりました。
BUNについてはみなさんもご存じかと思いますが、これも腎臓で濾過される特性があるため、腎機能評価に使用しますよね…
ただ、いまいちなのは、食事(蛋白摂取量)、ステロイド内服、出血、外傷などの異化・同化の影響を強く受けるため評価が難しいですね
BUN/Creは腎前性か腎性かの鑑別に使用できるとされ、国家試験やUSMLEでもとりあえず覚えていた知識ですが、臨床現場では、本当に鑑別するなら、畜尿してFENaを測定すべきらしいです…
BMP(basic metabolic panel)というセットにBUNが含まれることもありスクリーニングで簡単に調べやすいといのが重要なのかもしれません
尿検査の異常は、
尿定性(検査紙)と尿沈査(顕微鏡)に大きく分かれますね
試験紙では
・比重:腎臓の濃縮能の評価や脱水の有無など
・色調:血尿やポルフィリン症やアルカプトン尿症、一部薬剤など
・pH:尿細管の酸廃棄や重炭酸再吸収の機能確認
※蛋白質を多く摂取すると尿は酸性に傾く傾向があり、菜食主義者ではアルカリ尿の傾向がある。
・潜血:試験紙では、ミオグロビンやヘモグロビンでも反応しうる。陽性の場合は沈査でも評価する必要がある。
・蛋白:微量のアルブミン尿は測定できないことやアルカリ尿では偽陽性となる
リスクの高い患者はスポット尿や畜尿で測定する。
・糖:血糖が180㎎/dlを超えると尿糖が出てくる。血糖がそれほど高くないのに尿糖が出る場合は、SGLT2iの内服を確認してから、近位尿細管での再吸収障害を考える。
妊婦では尿細管の再吸収閾値が変わることで尿糖が出る場合がある。
・ケトン:飢餓状態で異化亢進の指標となる。試験紙では、βヒドロキシ酪酸を測定できず、アセト酢酸やアセトンを測定する。DKAで初期に蓄積するβヒドロキシ酪酸は試験紙でとらえられないため、試験紙でケトン陰性でもDKAは否定できない
スルフヒドリル基を持つACEi(カプトプリル)内服でケトンが陽性となる場合がある
・白血球エステラーゼと亜硝酸塩:これらは膿尿、特に尿路感染を示唆する所見で
UTIの事前確率を調べる指標となる
・ビリルビン:通常は検出されない、抱合型の水溶性ビリルビン。陽性時は重篤な肝疾患や閉塞性黄疸を考える
・ウロビリノーゲン:腸で細菌によってビリルビンが代謝され、再吸収されたもののうち一部を再度排泄している。増加する場合は溶血性貧血や、肝疾患、減少する場合は胆汁うっ滞や胆道閉塞の病態を考える。
沈査では
・赤血球:IsomorphicかDysmorphicを評価する。均一な赤血球であれば、感染症、腫瘤、嚢胞、結石などが考えられる。不均一なDysmorphicな血尿を確認した場合は、糸球体病変の事前確率が上がり腎生検の適応を考える。
・白血球:尿路感染で上昇することが多い。尿培養が陰性の場合は、女性なら膣炎や子宮頸管炎、男性なら、前立腺炎などを疑う。そのほかに急性間質性腎炎でも上昇する。中でも好酸球の増多は、間質性腎炎、アテローム塞栓症、糸球体腎炎、微小血管炎、UTI、前立腺疾患、寄生虫感染などが鑑別に上がる。
・扁平上皮:15/hpfを超えた場合などは、生殖器からの分泌物などのコンタミを疑う
・円柱:ウロモジュリンというTamm-Horsfall蛋白を基質に遠位尿細管内腔で作られるのが円柱で、赤血球円柱は近位尿細管より前で赤血球が存在しないと円柱に組み込まれないため赤血球円柱は糸球体腎炎を示唆する。また白血球円柱は腎盂腎炎などの感染症や間質性腎炎で上昇する。顆粒円柱(muddy brown)は急性尿細管壊死などを示唆する。
・結晶:感染症、薬剤、代謝疾患、遺伝、薬物などで見られる。リン酸アンモニウムマグネシウム塩はProteus属やKlebsiera属などウレアーゼ産生菌を疑う
ですね…
長くなりましたので続きは次回に…
尿蛋白と血尿の臨床評価と腎生検の適応についてまとめたいと思います。
AKIのReview読めていないけど基本的な事項はMKSAPの方が勉強になるなと…
もし興味持たれた方はMKSAP19買ってみましょう
初期研修病院について⑦キャリア的な環境(就職活動)
はい
セレンです
お久しぶりです。試験や就職活動が忙しく、しばらく更新できていませんでした。
初期研修病院について、
人や、病院の役割、教育、労働、設備とみてきましたが
最後に見ておきたいところや
どこに注目するかポイントです。
それはキャリアについてです。
医師のキャリアは、数十年前までは、卒業大学のどこかの医局に入局して大学院に進学して博士号と専門医を取ってというものだったかもしれませんが…
近年、初期研修制度の変更に伴い、市中病院で初期研修してから大学医局に所属せず、自分で医師のキャリアを切り開いていく先生も増えており、多様化していますね…
おそらく、このブログを読む医学生は最初から入局することを考えておらず、ある程度は自分でキャリア設計をしつつ、必要に応じて医局の助けを借りるために入局したい人や大学医局から距離を置きたい人が多いのではないでしょうか?
志望科と入局(初期研修病院の医局)
日本の医師は地域によって専門科にシーリングがかけられていますが、現行のシステムでは、志望する診療科を目指すことができるため、
志望科を絞ることが、キャリアを考える第一歩になる人が多いと思います。
志望科を考えたときに、循環器内科や消化器内科であれば、初期研修病院で一人も先生がいないことは非常に稀ではあると思いますが…
志望科がある研修病院を選ぶべき VS 選ばなくてもよい
論争があります。
これには、賛否両論があると思いますが、私個人としては、志望する診療科や興味がある研修病院が無難だと思います。
というのも、学生時代に考える診療科のイメージと働いてからの診療科のイメージは大きく変わるため、初期研修期間に1か月でもお試し期間として志望する診療科で働いてみることは、3年目の進路を考えるうえで大切なのかなと…
2年間実際に研修していなかった診療科に3年目で飛び込んで思ったのと違ったと感じることも少ないと聞きました。
一方で、外科系に進む先生で、3年目以降は病棟管理を学ぶ機会は少ないからと、初期研修の2年間は内科的な管理をきっちりと勉強できる病院で研修して、外科はあまり回らないという例も聞いたことはあります。
個々人の価値観や考え方によると思いますが同じ条件であれば、志望科がある病院で、3年目の進路のお試し的な自由選択を選べるところが良いのかなと考えます。
日本国内にとどまるつもりがない学生以外は、志望科を決めると
キャリアを考えるうえで、まず最初の分かれ道は、入局 or Not
という、ある種究極の二択になるのではないでしょうか?
あくまで、私個人は内科系で、できるだけ多くの分野の診療に従事できる、総合内科や総合診療科を志望しているため、外科のキャリアや臓器別の内科については詳しく知りませんが、
外科系の診療科では
入局をしないで外科のトレーニングが積める環境は極わずかで、地域や一部の特殊な病院に限られてくるため、基本的には外科志望の先生はどこの大学に入局するかを考えることが多いそうです。
内科系では、
研究に興味があるないしは、臓器別の専門家を志望する場合は、臓器別の専門の場合は大学医局の力も強く、自大学や、初期研修を終えた地域、また生まれ育った地域の大学入局する場合が多いです。
総合診療科や総合内科の場合、地域にもよると思いますが、大学医局よりも、病院独自の人事で教育や診療を行っていることが多く、医局に属していない先生が多い印象があります。
というキャリアの話は一回おいておくと
初期研修を市中病院で行う場合は、関連医局を把握しておくと、自分が将来入局を考えて医局の先生方の雰囲気を知ることができます。
(関連医局は診療科ごとに違うケースもありますね)
また、医局派遣で来ている先生か、病院のスタッフかを確認することは、指導してもらいと感じたときこそ確認することが重要で、
医局派遣の先生の場合は見学時にこの先生に教えてもらいたいとおもい、入職したら、張るから別の病院に異動していたという事例も少なくないですね…
後期研修関連 基幹プログラムなど
これは、三年目の研修をその病院で継続できるかどうかを考えるうえで重要です。
志望科の基幹プログラムを持っている病院であれば、初期研修後継続してその病院で3年目以後も研修ができるため、三年目以降の行先を必ずしも探さなくてよいという点です。
特に内科専門医に進む可能性がある場合は、悪名高いJ-OSLERの症例登録を初期研修の症例も使用すると考えた場合、内科の指導医の先生がいる病院や内科の基幹プログラムを持っている病院の方が、専門医取得を考えると有利なのかなと…
初期研修は必修でローテートが決まっている診療科が多いことや、まず、社会人として仕事を覚えることを考えると、後期研修の専門的な知識や技術の修練という目標の違いから、
初期研修によい病院と後期研修によい病院を分けて考えるという考え方もあると思います。
基幹プログラムを持っている病院を必ずしも選ぶ必要はないですが、その場合、後期研修先を初期研修1年の間に見学に行き、専攻医のプログラムに申し込む必要が生じます。
学生時代ですら、病院見学がめんどくさいと考える人の場合はおそらく、後期研修先を働きながら行うことはストレスなんじゃないかなと思います。
見学に行くうえで重要なのは、立地、給料、休日の3つです
・立地
東京や大都市圏に比べて、田舎で地方都市へのアクセスも悪い地域で研修する場合は、飛行機の本数や見学のためにかかる移動時間の面で難しくなります。
田舎でも、空港が近くにあれば、東京や近隣の都市には近いことが多いですが、本数も少ないため、弾丸で見学に行って帰ってくることが難しくなります。
・給料
後期研修病院を探す場合も、交通費補助などを出す病院も多いですが、出してくれない病院もあります。都内の大学病院で一人暮らしのような例を除けば慎ましく生活すれば、交通費の捻出は不可能ではありませんが、学生と違い、時間的に余裕もなく、
18切符で安く移動するよりも、飛行機や特急で時間を有効に使うことを考えるとある生活に困らない給料が欲しいかなと思います。
・余暇
有給や、きちんと土日がある病院かどうかですね…
これはもう2年目の初期研修の先生捕まえて、見学行きましたか?
行く時間ありましたか?と聞いて見るのがよいと思います。
初期研修から後期研修を連動させるひとと、変える人など様々ですし、
入局する人、時には海外に行く人、起業する人など…
実際に気になる病院で初期研修終わってからの進路を聞いて見るのが良いかと思います。
※余談ですが
J-OSLERに登録した症例を5年以降の専門医試験受験前に提出して添削されて、必要に応じて差し戻しとなることがあるそうで、初期研修病院でない病院で働いていた場合は差し戻しの症例が初期研修時代のものであれば、研修していた病院に行き、カルテを確認する作業が必要になります…
⇒つまり、沖縄で初期研修をして北海道で後期研修をして、初期研修時代の症例が差しも出されると、J-OSLERの症例登録のやり直しの為だけに、沖縄の病院に行き、カルテを確認する必要があります。
という背景もあり、特に内科専門医を考える場合は、初期研修病院と後期研修病院を同時に考える必要があるのではないかなと
(首都圏のように、1時間程度の電車の異動で初期研修した病院に行ける環境であれば気にしなくても良いかもしれませんが…)
英語・プログラミング
これは、病院の規模や一部のプライベート病院や大学が強いと思います。
医学以外のところで自分の強みを持ったり、
研究や臨床で海外に行くキャリアを夢見る人も一定数いるのかなと…
英語ですが、
渡米を考えたときに、臨床留学するなら、USMLEを揃えて、推薦状を書いてもらって、英語の練習を隙間時間にしてといろいろな準備が必要になります。
大学病院では、臨床留学なら準備は同様ですが、研究留学の場合はある程度の貯金があれば、コネで研究留学に行けたりしますね…
USMLEの勉強などして臨床留学に対して少なからず憧れがある私が知っている浅はかな情報では
臨床留学を考えた場合
・推薦状をかけるBossがいるかどうか?
・臨床での渡米経験者の人数
・海外志向の強い動機が集まりやすい環境か?
・医師でなくても、医療面接やプレゼンなどの指導ができる外国人がいるか?
・職場の渡米への理解
このあたりが重要だと思います。
渡米するための試験や、マッチング参加のための就職面接を受けに行くことは、渡米を考えたことがない先生では、なかなか理解してくれないため、上級医に渡米経験者がいたり、過去に渡米した研修医などがいない病院では環境的に難しいですし、
帰国子女でもなければ、コミュニケーションを練習できる環境かどうかは非常に重要な点だと思います。
プログラミングでは
私自身はずぶずぶの素人ですが、研究などする場合にPythonなどは勉強している先生も多いと聞きますし、アプリ開発など様々な需要があるかなと思います。
素人なのになんで書くんやて話ですが…
研究に使えるのは、もちろんなんですが、
カルテ開発という、ジャンルもあるのかなと思い、書いてみようとテーマに上げました。
いわゆる全国の人気病院の説明会や見学会に何度か顔を出しているのですが(笑)
こぞって人気病院が力を入れがちな国際性に関しては学生側も質問するケースが多く、プログラム責任者も定型文のような返しが多いのですが、
たまたま、電子カルテを独自に設計した病院だったので、業者から買わないで電子カルテを自社で作ることについて興味があり質問したところ、非常に興味深い話を聞けて面白かったなぁというのが、きっかけになります。
電子カルテ自体、大きな病院ではシステムが数十億単位のお金がかかり、オプションや細かい追加項目があるそうです。
これだけの投資をしているにも関わらず、電子カルテは、不便だなとか使い勝手悪いと感じたことがある人の方が多いのではないでしょうか(実習で使うたびにもっと見やすくならないのか?AppleやGoogleが参入したらええのに…)とか思ていました(笑)
自社開発したカルテにもトラブルはつきものかなと思いますが、カルテ開発事業自体が、一般企業が参入できる余地がない点であり
一般のSEさんは医療職の経験がないことも多いですし、普通の医師はプログラミングに詳しくないことが多いこともあり、ソフト開発と医療の両方を兼ねそろえた人材の価値って実は非常に大きいのではないかと思いました。
こういった事業に興味関心のある医学生は、電子カルテを自社開発できる病院だったり、自大学で作る大学などに進むのも良いと思います。
(そして、使いやすいカルテを日本に普及させてくださいORZ)
今回で初期研修病院の選び方全7回を書かせていただきましたが、
稚拙な文章を読んでくださった皆さんありがとうございました。
医学生の方には病院見学を有意義なものに
病院の先生方は自分の病院の魅力を再発見してもらえたら嬉しく思います。
では、明日からMKSAP19が使えるはずなので早くと解きたいと心待ちにしながら今日はこの辺で…
腎機能
はい、セレンです
いつもの前置き
色々忙しいのを理由ので勉強できていませんでしたが
同級生のレベルの高いアカデミックなブログ記事を読んで、ゴシップみたいなネタを書いていないで勉強しなくてはいけないと思いました…
実はMKSAP19を購入しており、毎日解きながら、ネタにしようと思っていたのですが、
8/31リリースなんですよね…
アカデミックな統計の評価に自信がないけど
ちょっと背伸びした勉強がしたいということで、
Reviewを読んでみたいと思います。
学生で背伸びしたい人、英語文献に挑戦したい人は
Pubmedで下のように検索の際にReviewを選択して読んでみると良いかもしれません。
大学の購読権限がない場合はFree full textのみで検索した文献ならアクセスできます。
表題の腎機能障害ですが、
何となく、Creや尿量や尿蛋白、血尿がでて
確か3カ月くらい持続したら、CKDだったけな?
くらいの適当な把握をしていました
一応国家試験としては
急性腎障害の概念
〔概念〕
様々な原因により急激な腎機能低下を来した状態.腎障害を早期から診断・介入することで,不可逆的な腎不全への進行を阻止し,予後を改善することを目標として提唱された概念である.
※従来は急性腎不全(ARF:acute renal failure)とよばれていた.
<Year note 2022より引用>慢性腎不全の概念
〔概念〕
腎障害が慢性的に持続する病態すべてをとらえる疾患概念.
※数ヵ月以上の経過で腎障害が進行し不可逆的となった状態を慢性腎不全(CRF:chronic renal failure)と呼び,CKDのステージG3以上に相当する.
<Year note2022より引用>
おそらく入院患者さんで腎機能が悪い患者さんの管理は必ずすると思いますが、
何となく腎機能悪いなぁ、脱水かな?尿閉あるかな?という
根拠なく疫学的な理由から狙いうちをしにいくSytem1的な発想は5択の国家試験でみんな選びそうなものを直感的に選ぶうえで重要だと思いつつ
いつか痛い目をみるんじゃないかと思いながら、
基礎的な病態なども考慮しながら、組み立てる思考と、疫学的にこれが多いよなという知識を勉強できたいいなと思いました
腎機能の評価を勉強しながら、AKIの対応などについてまとめていけたらいいなと思いました。
AKIの論文16ページあるーと思いながら
読み進めつつ
いまReviewをどうまとめるかという難題に頭を抱えています。
本日はとりあえず腎臓の機能について考えたいと思います。
腎機能
これ、基礎医学でやりましたよね…
分け方でいろいろあると思いますが、
<人体の構造と機能第3版によると>
4つで
水・電解質の調節
酸塩基平衡の調節
蛋白老廃物の代謝
①水、電解質の調節
まずは水分の調節についてですが、
⇒原尿の生成、濾過、水・電解質の再吸収
腎臓は人体の循環血液量の25%が流れ、
流れた血液の20%が糸球体で濾し出される。
そしておよそ99%が尿細管で再吸収されて尿になる
一日あたりの尿量や、一時間当たりの代替の尿量は
尿による排出を決めるのは
・腎血流を規定する循環血漿量(飲水や出血、3rdスペースへの水分の漏出)と、
・腎臓から、糸球体でどれだけ濾過できるか
・尿細管でどれだけ再吸収されるか
が重要だと思います。
電解質の再吸収についてはFirst Aidの図を借ります
First Aid2020 p573
近位尿細管はいろんなブドウ糖や重炭酸イオンやアミノ酸、
Naなど重要なものを多く再吸収しており
障害されたFanconi症候群では沢山のものが尿から駄々洩れてイメージですよね
あとはPTHが作用して、リンの再吸収を調整するところでもあります。
ヘンレは下降脚で間質浸透圧が高いところを徐々に流れていくことで水分を可能な限り再吸収して、
再度、間質浸透圧が下がってくる上行脚の太い部位ででNa,Clを再吸収します。(ループ利尿薬の作用部位ですね)
CaやMgを再吸収する部位なので、ループ利尿薬を使用してこのイオンチャンネルをせき止めると尿中Caが高くなり、結石リスクが上がることも…
遠位尿細管の近位部では、Na Cl共輸送体があり
PTHが作用して、Caの再吸収も行います。
⇒PTHの作用部位が前述の近位尿細管とここであり、偽性副甲状腺機能低下症の病型を知る際のEllsworth-Howard試験でポイントになります(国家試験では外れ選択肢でしか並んだことないですが(笑)でるかも?)
サイアザイド系利尿薬の作用機序でもあります。
前述のループ利尿薬との大きな違いは、寧ろ尿中のCaが低下することです。
このループ利尿薬とサイアザイド利尿薬の副作用の尿中Caの違いが、先天性のチャネル障害のBarter症候群とGittelman症候群の鑑別に有用です。
集合管で、アルドステロンとADHが作用すると
アルドステロンのH+の話はあとで話しますが、
レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系といわれ、
腎臓から分泌されたレニンが肺でアンジオテンシン変換酵素を活性化させて、アンジオテンシノーゲンがアンジオテンシンIIとなり、副腎皮質球状層から分泌されます。
国家試験レベルでは、Naを再吸収してKを排泄する機能と知られていますね。
ADHは下垂体後葉から口渇(浸透圧上昇)をトリガーに分泌されて、アクアポリン4という水だけを通すチャネルを管腔に開いて、水の再吸収を行い、血症浸透圧を低下させます。
腎機能障害=eGFRの低下&尿量減少と考えがちですが…
メジャーな例外としていわれている
初期の糖尿病ではむしろeGFRが増加して尿量も減少しませんよね
だからこそ糖尿病腎症はアルブミン尿で初期は評価する必要があるという話、
またとりあえず糖尿病腎症にRAA系の降圧薬が用いられると
単純暗記していませんか?
Q:糖尿病の初期になぜeGFRが上昇して、RAA系の薬剤がDM腎症に有効なのか?
A:血中の高血糖が糸球体ろ過後の高血糖の原尿となる
近位尿細管でGlu輸送時にNaを共輸送する。
遠位尿細管で低Naとなり感知した傍糸球体装置からレニン分泌が亢進して、腎血流が増加しeGFRが高くなる
過剰な濾過が続くことで糸球体が障害を受けて、進行するにつれて腎機能eGFRも低下する
つまりは、Naを共輸送するのを阻害するSGLT2阻害薬てめっちゃ効果ありそうですよね
はい、文献はお出ししませんが、効果ありますよね!
ここは、知ってるとおおってなりそうですよね
ちなみにUSMLE Step1ではヤマなので、米国では標準レベルなのかも?
②酸塩基平衡の調節
肺とともに腎臓は酸塩基平衡の中枢を担いますよね
体内のATP産生活動における酸化反応で蓄積する
酸性物質のうち、不揮発酸は呼吸から捨てられないため、 腎臓から排泄されます。
AG≒不揮発酸と評価できるため
代謝性アルカローシスの評価にAGが重要ですよね。
不揮発酸といえば乳酸が代表で、敗血症の時など重要ですよね。
酸塩基平衡についてですが
ここは
近位尿細管で重炭酸を再吸収して
遠位尿細管で水素イオンを排泄します。
近位尿細管に関しては、重炭酸の再吸収を阻害してして、尿中から重炭酸イオンを捨てさせるアセタゾラミドという薬がありますね…
国家試験で見たことないですが、噂のUSMLEでは必ず聞かれる用途があります。
それは… 高山病です。
高山病は空気中の酸素濃度低下を感知して、呼吸回数を増やしてしまうことで、換気量の増加で二酸化炭素の排出が増えて呼吸性にアルカローシスを起こしてしまう病気です。
よく登山家が息を荒立てないように上っていくのは呼吸回数をいたずらに増やさないためなんですね。
近位尿細管は深く理解しなくてもよいのですが、
遠位尿細管もとい集合管については遠位尿細管性アシドーシスを理解する上ではチャネルについてある程度勉強するほうが丸暗記に頼らなくてよいのかなと思います。
国家試験111I9という問題で、
遠位尿細管性アシドーシスの病態は集合管にあるという知識が問われる問題がありましたね…
正答率は22%でしたが、国家試験は過去問を経ると正答率爆上がりするのでこれからの受験生は近年の問題なら捨て問にできませんよね…
では、教科書から引用させていただきますが
First Aid2020 P573 から
きちんとアルドステロンの作用部位は集合管になっています。
噂のStep1のバイブル First Aidさんの画像をお借りします。
分かりやすいので基礎医学と英語に興味ある人は買ってもいいと思います。
Principal cellこと主細胞がAldsteronの作用で、Naの吸収Kの排泄を行い、その際の管腔が負に荷電したところでα-intraclated cellからH+が捨てられるようです。
アルドステロンはNaを再吸収してKを捨てるとだけ覚えないで
アルドステロンは集合管に作用して、Naの再吸収と、KとH+の排泄を促進すると覚えましょう
原発性アルドステロン症などで血中低KでH+が細胞内に移動して、代謝性アルカローシスという覚え方をするより、アルドステロンが集合管のH+排泄を行うと覚えていきましょう!
尿細管性アシドーシスの分類は
I 型、II 型、IV 型と三種類ありますが
II型が近位病細管でHCO3の再吸収が弱いため、尿のpHも比較的大きいもの
I型はIntrclated-cellからH+が捨てれないもの
IV型はアルドステロンの作用がそもそも問題があるものと理解でき、血中のKが高値になる理由が分かりますよね。
③蛋白質代謝産物の排出
eGFRは血中のCreを用いて簡便に糸球体ろ過率を予測したものですが、これは、血中の不要な蛋白質クレアチニンが
腎臓で濾過されて、尿細管で再吸収や尿細管からの排泄が少ないため用いられる指標ですよね。
年齢と性別とクレアチニンで簡易測定して言いますが、
クレアチニンという物質自体が、クレアチンという
ATPリン酸結合のエネルギーを効率よく取り出すために
筋肉内に存在するクレアチンという物質の老廃物がクレアチニンです。
アスリートの方はご存じと思いますが、クレアチンをサプリで摂取することもあるため。筋肉量が同世代の人より少ない場合は
なので、
筋肉量が多い人は腎機能が低く見える
一方で、サルコペニアのように筋肉量が低下している高齢者では見かけ上のeGFRは高くみえますよね…
影響を受けないで評価するために
めんどくさいイヌリンクリアランスや
シスタチンCを代用したりします(小児ではシスタチンCが良く使われています)
④ホルモン分泌
ホルモンについては
・レニン
・ビタミンD3活性化
の機能がありますね。
レニンですが、先にアルドステロンの作用の時に述べましたが、アンジオテンやアルドステロンを作ります
遠位尿細管周囲の緻密斑にある傍糸球体細胞が遠位尿細管でのCl濃度の低下を感知したり、β1刺激で分泌が促されて
アンジオテンシンIIは輸出細動脈を収縮させて、濾過を増加
全身の血管平滑筋を収縮させて血圧を上げる。
アルドステロンはNaとCl再吸収を増やす
高血圧に関連が深く、
RAA系として、高血圧治療のターゲットとなっています。
レニン阻害薬はあまりメジャーではありませんが、
ACE阻害薬(-プリル)
ARB(-サルタン)
が有名ですが、最近心不全界隈で有名な薬が出ましたね
そうです
ARNIですね
アンジオテンシン受容体阻害薬+ネプリライシン阻害薬
バルサルタン+サクビトリル (サクビトリルバルサルタン商品名エンレスト)です。
ネプリライシンがBNPやANPとアンジオテンシンを分解する作用があるもので、
BNPやANPの効果を高めると同時にアンジオテンシンも上昇してしまうのでARBでアンジオテンシンを抑え込むという
HFrEFにエビデンスがでた治療ですね…
今後国家試験でも問われてくるかもしれません。
エリスロポエチンですが、
腎不全でエリスロポエチンが分泌不全になり腎性貧血を起こす話を皆さんご存じですよね…
これも腎臓の間質細胞が、分泌します。
一昨年くらいのノーベル賞がHIFだったの覚えていますか?
Hypooxygen induced factorで、低酸素応答因子ともよばれており、通常は分解されるが低酸素時には分解されず、転写調節に働きEPOの産生が促されるもので、
一部の腎細胞癌でVHL遺伝子とHIFの経路、多血症をきたすメカニズムで話題でした。
慢性的に腎機能が低下している患者さんでは腎性貧血を起こすことがあり、EPO製剤による治療もありますね…
ビタミンD3活性化
これは、PTH刺激でビタミンD3の活性化が促され、
腸管からのCa吸収を促進します。
人体の正常構造と機能から引用しますが
Caの調整は非常に複雑です。
腎不全では
CKD-MBDという概念が提唱されており
腎臓からのリン排泄低下
から始まり、リン排泄を進めるため
骨からのFGF23分泌、高リン血症に伴う血中Caの低下、
PTH分泌が促進されて、結果骨吸収が増える。
OKD0052_KKC-2020-00059-1_A4 (kyowakirin.co.jp)
協和発酵キリンさんのCKD-MBDの解説が非常に分かりやすいです。
高リン血症が骨代謝障害のベースにあり
FGF23は腎臓からP排泄を促進させる因子として骨から分泌される
CKD-MBDに保険適応はないが、FGFを過剰に産生して、VitD産生を低下させることによるくる病などの診断に用いることができます。
はい長くなりました、これ書いてる時間で文献を読む時間はまた取れませんでしたが…
基礎医学のベースの良い復習になりました。
みなさんのお役にたてれば幸いです。
初期研修病院について⑥設備面(就職活動)
はい、セレンです。
あと少し続きますこのシリーズ
前回は初期研修の労働について書きましたが、
今回は、設備面ですね
福利厚生とかぶる面もありますが行ってみましょう
研修医室、白衣、スクラブ支給やコンビニ、食堂の話題、文献購読は
初期研修病院について①ライフスタイルについて(就職活動) - セレンディピティの医師(卵)
この記事でまとめているので、読んでみてください
一部追記で
PHS VS iPhone
個人的にこれは研修医にとってiPhoneの方がいいことが多いのかなと
確かに病院にとっては予算がかさむのかもしれませんが…
メリットは
・電話番号を調べなおす必要がない
・PHSよりもスマホに慣れ親しんでいる世代にはiPhoneが使用しやすい
・メッセージ機能で気軽に上級医に直接相談しやすい
ですね
ただPHSの病院でも、三番目のメッセージ機能に関しては、Microsoft TeamsやSlacksなどを病院で採用して、気軽に上級医に相談しやすくする環境を作っている病院もありますね…
電子カルテ
自分の知ってる電子カルテは細かいオプションごとの差異はたくさんありますが
メインのシステムで私が見たことある会社だけですが
①富士通
②NEC
③SSI
④自社開発
大学病院は富士通の大学が多いイメージ(偏見だったらごめんなさい)で
一部の大学などは電子カルテを自作しているところあるという噂を聞いたことがあります。
書くいう私の大学は富士通を使用していましたが、外病院実習で初めてNECのカルテやSSIのカルテを見たとき非常に使いにくいと感じましたし、一か月の実習でも全く覚えられる気がしなくてすごいストレスやなと感じました。
オリエンテーションなどでしっかり練習する機会があれば話は違うのかもしれませんが…
大学の実習で慣れた形式の電子カルテは外れ感少ないかもしれません。
またAIなどの診断システムが今後医療業界に流入してくる時代があるといわれていますが…
自社開発で電子カルテを用意できる病院の場合は、AIのシステムなどの開発などの部門があるかもしれないので、興味ある人にとっては、電子カルテを自前で作れる病院は魅力があるのかもしれません。
ここ最近、卒業試験などで忙しいので記事をこれまでみたくたくさん書く余裕はないですが
毎日少しずつでも記事を書いていけたらいいなと思います。
医学の記事なども書いてみたいと思います
初期研修病院について⑤労働環境(就職活動)
はい、セレンです。
今日もブログ書いていきたいと思います。
前回は教育の具体的内容
ローテートなどを中心に
書いてきました。
今日は労働環境に注目していきたいと思います。
労働環境
これは、巷にいうハイポ/ハイパーどっちなのか?という評価に近いといえると思います。
ただよくある勘違いで訂正してほしいと思うのは、
いわゆるブラックな職場、ホワイトな職場というよく言われる表現と
労働的な忙しさや自分の時間が取れるかどうかは別物で
そもそもブラック企業の定義自体が曖昧で共通認識がないのではないでしょうか
「ブラック企業」ってどんな会社なの?
厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、など
だそうです。
確かに①の長時間労働やノルマを課す という点について、医師という職業自体
特に病院勤務であればほぼ全員当てはまることから医者はみんなブラックと言えてしまうかもしれません…
一般企業と比較したら初期研修はブラックかもしれませんが、医師という職業の特殊性や業務独占で安定した賃金をもらえるのである程度は目をつむろうと私は考えてます。
ブラック企業の定義自体なので曖昧で巷でよく言うブラック病院の定義は人それぞれ違うと思います。
私にとっては初期研修は、労働を提供する代わりに給料をいただきますが、それと同時に教育してもらう期間だと考えているので、ギブアンドテイクの関係の不均衡がいわゆる、悪い場合をブラック、良い場合をホワイトと呼ぶんじゃないかと考えます。
ギブ:労働時間、仕事量
テイク:給料、教育環境
よく仕事しないでよいそれなりの給料をもらえる病院はハイポでホワイトだと考える人もいるかもしれませんが、
私にとっては、何も勉強にならない環境で飼殺し同然に放置される初期研修はネグレクトじゃないかとすら思います。
もう虐待ですよ(笑)
ハイパー≠ブラック、ハイポ≠ホワイト
だという違いは認識して分けて考えるべきだと思います。
チーム制と主治医制を比較
近年はチーム制を行う病院が多く、主治医制の病院の方が少ないと思います。
ただ、これも、完全主治医制ではなく、
主治医制だけど、時間外の急変は当直帯の先生が見ることもあり、一概にどっちかということは言えません。
チーム制
基本的に上級医が投薬や治療、検査など考えて行います。
教育をキチンと受けたいのであれば、上級医が思考プロセスを共有してくれる時間がどれだけあるかを確認することが重要です。
カンファレンスや回診中前後で指導する習慣や研修医が疑問を聞きやすい雰囲気か同課が重要です。
病院側の都合で、業務の効率化や研修医の医療ミスの責任を病院や指導医もとることを考えると最も、病院側に都合がよい初期研修の指導は
研修医にカルテ書きや入院診療計画書、退院サマリーなどの書類仕事だけを、
指示だしや検査、治療を上級医が行うという分業システムにが都合がよいため、
教育に力を入れていない病院でチーム制というと、回診を一緒にして
初期研修医は午前中、カルテ記載終わったら昼ごはんね
夕回診後カルテと書類書き終わったら帰ってもいいよという研修です。
確かにDutyの仕事を終える能力は身に付きますが、おそらく考えないで仕事を覚えて上級医に相談する癖がついたら、思考放棄して成長はそこで止まるような気がします。
もちろん、内視鏡だけしたいという希望のある先生や外科手術がうまくなりたい先生ならば、価値観は変わるのでしょうが…
これは
研修医にカルテ何人分書いているか確認したり、カルテをSOAP形式でキチンとかけているか、研修医のアセスメント能力を見ればある程度予測が付きます。
研修医の一年目などに、1日15人以上のカルテを書かせている病院は注意した方がいいかもしれません。
3年以降に一般の市中病院の病棟業務を行うつもりがあるなら、AやPの思考能力が見につかない教育環境でないか確認した方がいいのではないかなと思いました。
もちろん自分が上級医であれば、雑用仕事を研修医に任せて、病棟の治療や診療に従事できて、きちんと担保された休みが取れるのは素晴らしいと思います。
主治医制です
一方で、主治医制だから実力が身につくという保証はないですね。
主治医制は見るからに忙しいですし、これも経験できるといっても、放置されて我流でそのまま、指摘される機会がないまま仕事を覚える危険性もあります。
働き方改革が進むこのご時世であえて、チーム制でなく主治医制を貫く病院は
リスクを加味したうえで、教育的に勉強する機会が多くなると考えているため
主治医制を維持する病院ならば教育に力を入れている場合も多いとは思います。
自分が主治医として、検査や治療の計画にかかわるため、
・疾患を理解するための勉強に対する真剣度が変わる。
⇒チーム制では、口頭試問に答えられれば、君優秀だねで終わるかもしれませんが
主治医制では、具体的に現場で求められる治療や検査の解釈が要求されるため、
自分に足りない知識や課題が見えてきやすいのではないでしょうか
・自分の立てた治療計画が施行されれば、その答えは患者さんの予後で否応なく突きつけられる。
⇒感染症に培養取らずに抗菌薬を開始した後に効果がなかったなど、自分の失敗が直接的に影響するので、受動的な姿勢でいられません。
主治医制のもち患者数は、その患者の重症度合い、研修医の熟練度、研修医のキャパによると思いますが、
2-8人程度が多いと思います。半年近く内科を回った優秀な研修医の先生で14人見ている先生もいましたが…
受験勉強を突破してきている皆さんならわかると思いますが、教科書をただ流し読み流しても知識は定着しませんし、問題演習だけして、解説をきちんと読まないと成長できませんよね
ある程度の知識を身につけたら、問題演習で、自分の理解していない点を把握して、理解を深めていくのと同様だと思います。
実践やアウトプットする頻度、上級医からのフィードバックと、適度なレクチャーや自主学習のバランスが重要なのかもしれません。
救急システム
救急は3か月必修で、当直業務が週一回程度と考えると非常に重要ですね。
今は地域によっては救急医療=コロナとの闘いとなっている場合もあるかもしれませんが…
救急は、
・救急の専門の先生が常時いるかどうか
・病院が3次救急か2次救急科か
・研修医は救急車対応するか?Walk inだけか?
・ER型救急
・ドクターヘリ、ドクターカー
ここら辺ですかね…
救急医志望の場合は救急医が常時いて指導してもらえる病院に魅力を感じると思います。週一回の当直や月一の日勤ではいる救急当番のたびに、救急が専門の先生に指導してもらう機会があるのは魅力的だと思います。
ただ、救急医が常時いる病院はごく一部の病院に限られ、おおよそ3次救急の病院に限られてくると思います。
では、3次救急であるほうが、2次救急の病院よりいいのか?というとそういうわけでもありません。
確かに、3次救急の病院には、2次救急の患者やWalk inの患者さんも来ることがあり、大は小を兼ねると思いがちですが、初期研修で考えると、
3次救急の病院で初期研修医が1-3次の救急をすべて関わる病院はむしろ少なく、
救急科ローテート中は救急車対応することもあるが、当直や日直はWalk inのトリアージが済んだ患者さんの1stタッチなど役割が振られていることがあります。
病院見学で実際に当直見学を希望するのが良いのかなと思います。
救急車もWalk inの患者も色々見れる救急がいわゆるER型救急です。
ER型救急を謳う病院は救急医療に力を入れている病院が多いため、救急志望にとっては良い環境なのではないでしょうか。
最後に、救急で災害医療や、外傷などを多くみる機会のあるドクターヘリなどある病院も興味がある人にとっては参考にしてもよいかもしれません。
ドクターヘリも実はランクがあるそうで、酔いやすい揺れがひどい機種と快適な乗り心地の機種があるそうで興味のある方は実際に乗っている先生方に聞いてみると、会話が弾むかもしれませんね(笑)
採血当番
再受験や一部の人は違うと思いますが、
医学生の卒業時に採血を完璧に自信もってできますという人は少ないと思います。
救急でのルート確保や、血液培養のなどで、採血の手技は基本になるため
修練を兼ねて研修医に採血当番を課す病院が多いです。
この採血は
・外来検査の検査室で採血を行う研修
・病棟の担当患者さんの採血を行う研修があります。
前者はそこまで気にしなくてもよいかもしれませんが
後者で毎朝の採血は初期研修医がやるという文化の病院もあります。
つまり毎朝6時や7時から採血を行うので、毎朝5時や6時に起きる必要があります。
採血自体を完全に看護師さんがやってくれる病院もありますし、上級医が採血を日常業務で行う姿が一般的ですよね…
慣例的に研修医は朝早くきて、採血をするが仕事という病院もありますが私は早起きは得意でないのである程度のレベルに達したら、もう採血当番やらなくていいよねていってくれる病院が私はいいなと思いました(笑)
色々労働環境について書きましたが
大変でも自分が成長できると思えれば、体を壊さない範囲で頑張るのはむしろ楽しいしやりがいを感じると思います。
頑張ったら成長できる、そういう土壌を用意して、見守りながら研修医にムチ打つ病院は必ずしもブラックではないと…
労働基準法守れない時点でブラックだといわれてしまえばそれまでですが…
参考になれば幸いです。
初期研修病院について④教育体制(就職活動)
はいセレンです。
とりあえず採用試験を受ける合間に初期研修病院の見方についての記事を書くと、自分の中で初期研修病院で何がしたいのか明確になるので、面接で聞かれたときに、偽ることなく自分を再認識できて、自己PRが上手になれる気がします。
この内省するのに、良いかなと思います
前回の記事では初期研修病院の
・どういう人が働いている
・どういう役割の病院なのか
に着目しましたが、今回は
教育の体制について触れていきたいと思います。
特に、教育体制は教育環境を大事にしたいと考える情熱的な医学生を勧誘する上で最大のPRポイントです。
教育環境について
ローテート①カリキュラムの確認
まず初期研修では、
必修として、決められた診療科をローテートする決まりがあります
いわゆる学校でいうカリキュラム的なものですが
初期研修はローテートする科が決まっているからどこでもあまり変わらないという意見をいう人もいますが大違いです。
とりあえず実際の必修について見てみましょう
【初期臨床研修制度】2020年度から必修7科目化、外科など復帰―医道審部会が制度見直し案を了承|Web医事新報|日本医事新報社 (jmedj.co.jp)
凄いですよね、半分が必修です。
ところが、この選択期間の48週も病院よっては、外科は2か月が必修だという病院や、麻酔二か月、救急2か月などで選択の期間が短い病院がほとんどです。
細かい話をすると、診療科の交代を月始まりで切り替える風習?という文化の関係で必修期間が56週で終わることがなく、内科6か月、救急3カ月、その他5か月の必修が付くため必修が最低限の病院でも実質10ヶ月の選択期間で、外科や救急を長く義務付ける病院が多いため平均すると選択科目は8か月程度が多いですね。
また選択期間が例えば8か月あったとして、例えば、全部〇〇内科に行きたいという場合なども受け入れが難しいというケースが多いので、自分がここ長く研修したいと思う診療科がどれくらい回れるか確認してみるのも良いと思います。
ローテート②内科ローテートの極意
実は診療科が同じなら、指導医にカリスマみたいな先生がいるかいないかだけで大差ないんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんね
内科系志望の私がローテートのシステムで気にするのは
そう、内科ローテートです
私が内科志望だからという理由を除けば
①初期研修期間で最低1/4を回るから
②臨床医としての基本である病棟管理を学ぶ場であるから
①は研修医期間の1/4を占める診療科の回り方を気にするべきですよね
②に関しては病棟管理が一切ない診療科や自由診療、研修医後は直接的な医療から外れる人にとっては無関係ですが、外科系の志望でも病棟管理は基礎になりますよね
大きく分けて内科ローテートは病院で3パターンあります
A:臓器別の内科を一か月ずつ合計6科をローテート
B:臓器別の内科を二か月ずつ合計3科をローテート
C:総合内科や、統合された一般内科を半年間研修
それぞれメリットとデメリットがあります
正直AとCが対極にあり、Bは中間的な感じでしょうか
Aタイプは大きな病院や大学病院に多いですね、
利点はいわゆる感染症内科や膠原病内科、血液内科などの中規模の市中病院では持っていない専門性の高い診療科を回る機会があり、その分野に関して医学的に深いことまで聞け、最新の情報に触れる機会があることです。また一か月ごとにいろんな科をローテートすることで、他大学出身者が大学病院で入局先を考える際には、いろんな診療科の先生方の雰囲気を肌で感じる機会があってよいと思います。
欠点は1か月ごとに診療科を交代するため、病棟ごとのルールの覚えなおしが多く、勉強する時間よりも業務を覚える時間が多いことでしょうか、また、どうしても、入院から退院まで一貫して診療にあたる機会も少ないことも学習機会としては失われてしまうかもしれません
Cタイプは小規模な病院や、総合内科、総合診療科が主体の一部の病院のシステムです。
利点は、病棟のルールなど業務的な内容を覚える負荷が軽いため、医学の勉強や患者さんに直接接する時間が長いこと、また一貫して入院から退院まで見る機会が多いこと、また、様々な系統の疾患の患者さんを同時に見ることができるため、全身評価や臓器に限定しないで患者さんを管理できるスキルを磨きたい人にとってはよい環境かなと思います。
欠点は、小病院の場合は、本当に専門的な処置が必要な必要な患者さんの診療に触れる機会が少ないこと、また臓器の専門医の先生が少ない場合は、治療のアップデートが遅れている場合もあるかもしれません。最も気を付けるべきは、内科がひとくくりの病院は指導医の先生が少ないことも多く、ウマが合わない指導医と半年間同じ診療科を回り続けるの可能性があります。
BタイプはAとCの中間的な立ち位置が多いです。
利点欠点もAとCの間をとったようなところが多く、
適度に専門性をみつつ、業務を覚えなおす負担も少ないのが特徴だと思います
主に中規模の市中病院で一般的な回り方だと思います。私の見た病院では、消化器内科、循環器内科、糖尿病内科は持っている病院が多く、神経内科や腎臓内科やその他の内科から3つ選んで回るようになっている病院が多いです。
循環器内科や消化器内科は義務となっている病院もあるので確認するとよいでしょう
カテーテル検査や内視鏡検査は興味がない場合は義務といわれてしまうと嫌煙されてしまうかもしれません。
地域研修
これも義務だし田舎で一か月、どこ行っても同じと思う人もいるかもしれませんが
これも勉強になる環境がある地域研修と、過疎地の診療所に送り込まれて、
外来のアナムネ係をするだけの病院があるらしいですが、研修内容の是非は地域研修の病院は見学できていないので割愛しますが、
1か月間リゾート気分が味わえる地域研修がある場合があります。
コロナ渦なので、地域研修で遊ぶぞ!とか大声で言えませんが、
来年には落ち着いていてくれないかなとおもいます
具体的には、聞いていいなと思う要素は
・冬にスキー場が近くにある地域の診療所に研修に行ける
・夏に海がきれいな離島の診療所に行ける
・温泉つきの宿舎がある
・食事美味しい
なので、是非研修担当の先生は楽しい地域医療実習ができる診療所での一か月の研修ができるようにしていただけるとPRポイントになると思います。
学生は、スキー場の近くの診療所だと思っていいなと思っていたら、地域医療の受け入れ状況で夏にしか行けなくてがっかりした。という話もあるので、地域医療の時期がどれくらい融通が利くかもポイントですよ(笑)
逆に豪雪地帯に地域医療で雪道運転自信ない場合は考えただけで地獄ですよね…
目次に書きそびれましたが、ローテートと関係があって重要なたすき掛けについても書いていきたいともいます
海外研修
これができる病院は限られますし、コロナウイルス感染症が落ち着くまで難しいですけど、初期研修期間に海外の病院に行けるところ一定数あります。
何がいいかというと
病院から賃金を頂きながら海外を楽しめることですね!
アメリカや海外の病院にいっても大した労働はできないわけで、学生実習のように、ついて回ったり、一緒にご飯食べたりがメインだと思いますが、
仕事として、海外に一か月行けるというだけで楽しそうだなと思います
早くコロナウイルス鎮静化してほしいものです。
たすき掛け
病院同士で連携していろんな病院の見ることができるものですね
小規模な病院で地域医療に触れたり、慢性期医療をみつつ、大学病院でも専門的な医療に触れられますなんていう触れ込みであたかも良い点ばかりのシステムに見えますが
このたすき掛けシステムは注意しなければいけない落とし穴が3点ほどあります。
・給料はどちらから支払われるか
・カリキュラムの制限
・引っ越しや宿舎、病院間の距離
まず給料問題ですが、大学は一般的に給料が低いから市中病院で研修したいう話がでると、たすき掛けで市中病院にいくと市中病院の給料がでて、補填できるなどといい面ばかり強調されますが、
例えば、
・そのたすき掛け病院で半年以上研修しないと給料体系は大学病院から支払われるシステムだったり、
・職員手当がついて高くなっていて、たすき掛けで来た場合はもらえなかったり、
・当直手当の額が違ったり
・時間外も大学のルールになったり…
・ボーナスがもらえない
など裏があることがあります。具体的に確認した方がいいですが、これは実際にたすき掛けしている先生に聞かないと、後だしじゃんけん的に言いなりなので、気になる方は実際にたすき掛けをしている研修医の先生に確認しましょう。
カリキュラムの制限ですが、たすき掛けで行く場合、自分の希望する病院、そして診療科もいくことができるとは限りません。たすき掛けを受け入れる病院はたいていそこを基幹にした研修医もおり、おそらくそちらの研修医の希望が優先される場合が多いと思います。さらに、たすき掛けのカリキュラム、相手側の病院側にお願いして受け入れてもらう形になるので、一度決定した後で研修の中でローテートを変更したいとなっても受け入れてもらえない可能性が高いですし、事務手続きを二重に踏むのでできたとしても非常に面倒くさいと思います。
最後に引っ越しや宿舎の距離問題ですが、
自家用車で30分程度移動可能な距離ならば、車を使う人なら困らないと思いますが、
大学などのプログラムで都道府県内の病院を移動する場合、
物理的に引っ越しが余儀なくされる場合がありますが、大学や病院によっては宿舎がなく、家賃二重払いや敷金礼金など重なった結果、三カ月のたすき掛けでひと月分の給料が引っ越し関連で消失する話を聞いたときにはぞっとしました。
必ず、物理的にはなれた病院でたすき掛けを行う場合は、宿舎の有無、入れない場合の家の借り上げなどの制度を確認してから考えましょう。
オリエンテーション期間
国家試験に受かったとしてもいきなり病院業務を始めることはまずないと思います
ローテートが開始される前にこのオリエンテーション期間が病院ごとに設けられており、職場のルールや病院の案内、カルテの操作指導などがあります。
1週間-2週間で平均して10日ほど行う病院が多いですが、
私の知る限り短いと3日、長い場合は1か月あるところがありますね
じゃんじゃん働き人は短い方がいいかもしれませんが、ある程度研修にゆとりを持たせてくれる病院の方がメンタル的に負担は少ないかもしれません
一か月もオリエンテーションを行う病院は病院業務一切していないのに、当直などの手当が少ないとはいえ、お給料がもえらえていいのかなという話をされてました。
一方で入職4日目に当直に入った先生の話を聞くと、何もできなくて困ったが、できない前提でハードルは低く、業務の中で習うより慣れよで覚えられるとのことです
気にする人おるんか(笑)てところですが、
ここも好みがあるかもしれませんね
レクチャー
これは教育的な病院ではよくある文化で、これが売りという病院もありますよね。
レクチャーは内容で大きく二種類あると思います。
①初期研修医向けに役に立つ内容を形式化して授業のように行うもの
②研修医の担当患者に関して診療のTipsをミニレクチャー
①は多くの病院で教育に力入れる診療科で行われていますね
業務時間に差し支えない朝の時間やランチの時間を利用して行うケースが多いのですが
私が一番すごいと思った病院は、病院全体で毎日研修医向けに各診療科の先生が日替わりで研修医向けのトピックスを20分程度で伝えるものですね
感染対策も兼ねてZoomで行い、他科の先生も興味があれば見れるようにして、
録画とスライドをアーカイブで保存して見れるようにしているのはすごいなぁと思いました。
泌尿器科や眼科や耳鼻科など研修医が回らない可能性もある診療科の先生方が救急のときに、この初期対応だけ覚えてほしいとか、コンサルで何を求めているかを具体的にレクチャーすることで、研修医は勉強になり、指導者側も働きやすくなるそうですね。
このような勉強会を行うことのPRポイントは、オンオフをはっきりさせたい人には非常に魅力的だと思いました。仕事以外の時間は医学書を読みたくないという人でも、朝や昼の勉強会だけに年間毎日出ていれば、休日や時間外は自分の趣味に没頭していても効率的に、現場で働ける知識が身に付くとアピールできます。
おそらくこれは病院全体で教育を頑張ろうというやる気さえあれば、多くの病院で実現可能な取り組みなのかなと思いました。
②は指導する先生の技量に左右されることが多いかなと思います。しかし、いつかに役に立つであろう情報をレクチャーされるよりも、今目の前で使える内容をレクチャーしてもらえる方が、学生や研修医にとっては有益に感じるのかもしれません。
スライドを準備する時間がない中で、アドリブ的に研修医が求めているであろう知識を提供出来る先生は一握りで、全国から医学生を集める先生方には、この指導ができることが評判で教わりたいと集まるかもしれませんね
カンファレンス・プレゼンの機会・教育側に回るチャンス
これらも、嫌いという人は多いを思いますし、全員が興味ある内容ではないですが
教育力を求める場合は非常に重要な項目だと思います。
なんでこれをまとめるんだという意見もあるかもしれませんが
アウトプットに関係としてまとめさせてもらいました。
See one, do one, teach one.という言葉があるように、
みて、やってみて、教える側に回ることで理解が深まるのではないでしょうか。
また、教科書をただ読んで勉強するよりも、テスト形式で問題を解いてみることで、自分に足りていないことが認識できる人が多いのではないかと思います。
実際にアウトプットの場を得て、フィードバックをもらえる環境が自分の至らない点を認識して成長につながる環境だと考えます。
なので、研修医の先生が発現する機会のあるカンファレンスや
入院患者のプレゼン
また医学生の指導をする機会があるのは学習環境としてアピールするには良いと感じます。
抄読会・EBM教育・学会発表
これは、勉強の仕方を勉強する意味で重要なのかなと感じます。
医学生の中で、すでに研究室に通って論文を発表したことがあるというスーパー医学生にとっては教えてもらう必要はないかもしれませんが…
論文の解釈を自信もってできる学生は少数派でないでしょうか?
大学病院などの博士号を持っている先生がおおい病院はやはり抄読会が盛んで学ぶ機会があるのはメリットではあると思います。
もちろん市中病院でも、EBM教育に力を入れておられる先生もいます。
本格的に勉強したいならやはり大学院に行くのが一番なのかもしれませんが…
研修文化
病院ごとに初期研修の歴史などあると思いますが、
革新的な研修病院と
保守的な研修病院があると思います。
研修医からの意見を取り入れて、いろんな制度を取り入れて試してみようという病院と
うちは、こういう研修が伝統で代々こういう研修をしているという病院ですね
偏見ですが、いわゆるチーフレジデントという存在に注目してみるといいかもしれません。
チーフレジデントとは気になる人は下のリンクを見てほしいのですが…
JACRA official website – Supporting tomorrow's chief residents. (jacra-med.org)
いわゆる、米国の文化であったチーフレジデント制度を日本にも取り入れて研修医に主体性を持たせて変えていこうという流れですね。
当直体制をこうしてほしい、
ローテートのルールを変えてほしいという
意見を一人の意見としていうと病院側は受け入れにくいですが、学年の研修医の総意という形でチーフレジデントがまとめていうことで、病院側に意見がしやすくなるなどのメリットがあります。
チーフレジデント制がある病院は形ばかりの病院もあるかもしれませんが、新しい取り組みや研修医の意見を比較的取り入れてくれる病院が多いかもしれません
もちろん必ずしもチーフレジデント制度があるからいいとか、改革することがいいということもありません。研修制度が変わるときは改善だけでなく改悪になることもあり得ます…
それに、見学していいなと思っていた制度がなくなっているかもしれません
その場合は復活するように提案していけばよいのかもしれませんが…
非常に長くなりました。
まだまだ、初期研修病院を考えるうえで見て置くべき点はありますが…
また次回書きたいと思います。
ここまでお付き合いいただきました皆さんありがとうございます。
あくまで教育に関心のある内科医志望の学生の考えではありますが
研修内容てどこでも同じというわけではなく、まったく違うものですよね。
初期研修病院の就活を指す言葉のマッチングは
婚活でも使われるように
初期研修病院探しは、恋人探しみたいなものなのかもしれませんね…
それぞれ個性があって、病院見学(デート)を重ねてお互いにいいなと思った二人がマッチする…
こんな、尻軽でいろんな病院を浮気してる私を取ってくれる病院はあるのだろうかと不安にもなりますね
ではまた次回の記事も読んでいただければ嬉しく思います。