国際機能分類(ICF)分類

いつもの前書き

はい、セレンです。じつは最近マークダウン記法を用いるObsidianというノートアプリをするようになりまして、はてなブログもマークダウン形式で書けるということで、Obsidianで編集してみてます。 Obsidianというアプリで医学知識を整理するときにタグをつけて管理できる特性があって、例えば感染性心内膜炎を感染症という特性だけでなく、心内膜病変、不明熱という属性などで管理できて、タグの階層も無限に作れて奥が深いです。 このタグ管理をどうしようかなと思っていたところで公衆衛生の勉強をしていた時にこの国際分類みて 5項目と非常にシンプルながらにとても分かりやすく、情報特性をもれなくカバーしているのでは?とおもって、いろいろ記事にしたいと思います

国際機能分類 ICF

国際機能分類ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)とは 2001年にWHOで採択された、病気だけでなく生活の機能面に着目して、疾患がない状態を健康とは言わない、新しい概念を打ち出すものでした f:id:sedoctor:20211026220223p:plain これを聞いてまず初めに思ったことは、家庭医の先生方が良く話される話に近いなと思って頭に浮かんだのは - 患者中心の医療のモデル - つなナラ(繋がりとナラティブ) の二つでした ・患者中心の医療モデルはスチュワート先生が提唱した

出雲家庭医療学センター (izumo-hp.com)f:id:sedoctor:20211026220244p:plain

総合診療医の先生がいうDiseaseだけでなくIllnessもみている。そして患者さんの生活面に入り込んで、その中でどう対応していくかということ。 ・次に、つなナラですが、これは南砺市民病院の大浦誠先生が提唱しておられた言葉です 患者さんの生活背景をどのようにつかむのか?学生にむけて一歩踏み込んだ勉強会で、「繋がり」と「ナラティブ」に分けて患者さんの話を聞いて見ようという講演で印象に残っていました。

それを見ると、「繋がり」は、ICFの生活機能の参加と、活動の一部に入ってくるとも考えられて、「ナラテイブ」は背景因子である環境因子や個人因子に絡んでくるのかなと思いました。

個人的にはこのICFて国家試験の公衆衛生ではそこそこ出題されやすいポイントであるので、総合診療の先生方が学生に教える総合診療医の在り方や家庭医のマインドを伝える時に時に国家試験でも出題されてるあれは実臨床に活きるんだよって指導すると効果的かもしれません(笑)

プロブレムリストに応用

このICFをタグにしたら面白そうと思い

生活機能
・心身機能身体構造
 ⇒ Structure
  Function
・活動= Activities
・参加= Participation
背景因子
・環境Environmental
・個人Personal

て分割したら面白そうだなと思いました。

例えば

プロブレムリスト
Structure
#1変形性膝関節症
#2変形性股関節症
Function
#3うっ血性心不全
Activity
#4歩くことが辛く、活動範囲と時間が短くなってしまった
Participation
#5友人とのバス旅行にいけなくなってしまった
Environment
#6介護保険未申請
Personal
#7薬嫌い

というまぁこれ、従妹のおばさんの話なんですけど(笑)
こういうプロブレムリストを立てると、患者さんの背景を診れています感出そうだなと思ったのと、 一度であった患者さんのプロブレムをICF分類で自分のデータベースを作ると、次回以降似た問題点への介入が有効にできたり、経験豊富な先生方に相談しやすいのでは?と思いました。

少人数グループ学習のファシリテーション(読書感想文2)

いつもの前置き

はい、セレンです
先日参加した勉強会で医学教育の最前線の話を聞いて
勉強会運営だったり、後輩への指導などの話を聞いていて

医学生として最高学年になった今、勉強会でブレイクアウトルームなど作られるとファシリテーターとしての役割が求められる中で、下の学年の子が発現しやすく、学習を支える役割を果たせているだろうか?と思っていた時に
眼についた項目があったので共有したいと思います。

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以前も紹介しましたが、この本からの引用です。興味を持たれた方は是非に

 

少人数学習でのファシリテーション

少人数学習でのファシリテーターはチューターともよばれます
セッションの中での
 ・全体のセッション内のデザインと準備

 ・セッション中のファシリテーション

の二つになるそうです。

 

役割①デザインと準備

ファシリテーターは議論が始まる前に

OARRを事前に通知することが望ましい

①O:Outcome:ゴール

②A:Agenda:大まかな流れ

③R:Role そこにいる者の役割

④R:Rule グランドルール(心得や安全性について)

 

というものがあるらしくて


①では、さっき出た、患者さんの情報から、鑑別疾患と追加で聞きたいことをまとめよう

②では、では、一人ずつ意見を言ってもらいながら、最後にまとめましょう

③では、低学年の人から意見を述べてもらいながら、上級生には補完してもらいたいと思います

④では、ここでは、間違えることは、実臨床の患者さんに迷惑をかけることはないので、思う存分間違えていいです。どんな意見にも否定はしないようにしましょう!

という流れが自分が勉強会で使っていきたいなと思いました。

 

役割②セッション中のファシリテーション

ファシリ中に求められるスキルは

  • 発表を傾聴する
  • 学習者に対して反応する
  • 適切な問いを投げること
  • 理解を促す説明をする
  • 活発な家kンを促す工夫

 

どれも難しそうですよね

 

なかでも、勉強になったのは

 学習者に対する反応のスキルに
  Reflecting back;オウム返し
  Perception checking;つまり~ 自身の理解を確認
  Paraphrasing;言い換え
  Slience;沈黙 気まずい空気をリセットする
 沈黙も上手く使ったり、少し考えてみようという時間にできるという話は驚きました
 

 そして、適切な問を投げることですが
 抽象⇒具体性
 例)
  感染症て具体的にどんな感染症だと思う?
  感覚障害は具体的に痛みかな?しびれかな?灼熱感かな?
 具体性⇒抽象
 例)
  この下痢と神経障害を一元的にはどう説明できるかな?
 時間軸の意識
 例)
  いつまで抗菌薬を続ける?
  検査が出るまでの時間に何を考えようか?

 

Open Questionを使う手法
 5W1H疑問に置き換える
  例:この検査は必要ないか?⇒なんでこの検査をしたいと思ったのか?

 広げる
  この発熱と体重減少が関連する疾患は?

 正当化する
  どうして、心不全より、肺炎と思ったのか?
 仮説を立てる
  もしこの患者さんが免疫不全なら治療は変わる?

 ほかの可能性
  透析が必要でも本人が希望しなかったらどうする?

 

最後に

制限時間を意識しながら、発言者の意見を拾って、安全に自由な発言ができる環境を作って議論を推し進めるのは非常に難しいなと思いましたが、

時間に追われる外来の中で患者さんの満足度を上げることに近いのかなとか思うと、今後もファシリテーターをやる機会があったら意識して取り組んでいきたいと思いました。

下痢の症例提示(MKSAP)

いつもの前置き

お久しぶりです

セレンです。

マッチングもあと最終発表をまつだけとなり

 

OSCEを受けてあと一回大学の試験を受けると

私はもう卒業なんだなぁと思うと感慨深いですね。

 

病院見学だったり実習をさせてもらいに行っていたり、方々の勉強会に顔を出させてもらってブログを書けない言い訳を作っていましたがいい加減書こうと思いました。

といっても勉強会で提示した症例とそのスライドなんですけどね…

 

症例提示:72歳男性 5か月前からの腹部膨満感と下痢

MKSAPの症例をアレンジして持ってきました。

日本の国家試験に出ませんがUSMLEなどではそれになりに聞かれる疾患なので興味を持っていただけたらならなと…

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この段階で診断まで言ったらエスパーやなと思いますけど…

 

ということで何を聴くべきなのか?

今回は下痢の主訴に主眼を置いて考えてみました

 

そもそも下痢とは?

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下痢について改めておさらいしたところで機序から考えてみると

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病態からの鑑別のフレームがありますよね

そして病歴から、慢性の下痢と急性の下痢に分けられて

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こういったことを考えると…

 

本症例では

脂肪便+下痢ということで

吸収不良を起こす疾患について議論を行い

・慢性膵炎
ジアルジア症
IBD
・胆道や乳頭部を閉塞させる病変

などが上がりながら

MKSAPだし、ウィップルとか、Celiac病
Compromised hostでクリプトスポリジウムがあるとか盛り上がりましたね

 

必ず出すであろう採血検査はこんな感じで

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追加でオーダーした検査が

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こんな感じで

Celiac病、CD腸炎ジアルジア症ぽくないし

生検もしているためウィップルやスプルーぽくもない

そして謎の小腸憩室…

 

診断は…

 

Glucose Breath Testを行い

⇒陽性

ということで 

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という出題でした

 

最終診断の解説

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今回の症例は憩室という解剖的異常で小腸内で細菌が増殖しやすい環境が整って生じたのかなと思います。

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まとめ

ということで

今回はSIBOでしたが

気づいた方も多いともいますが、過敏性腸症候群IBS)に似ているなぁとか、PPIで起こす下痢の鑑別にCD腸炎、顕微鏡的大腸炎、そしてSIBOとするのもよいのかなと思います。

疾患として日本ではあまり広がっていないですし、診断を客観的につけることの難しさから注目されていませんが過敏性腸症候群IBS)の患者さんの中の一定数には隠れていて日本では見つかっていないのかなとか妄想していました。

USMLEに興味あるかたはRugh-en-YときたらSIBOの流れがあるので押さえておくといいと思います。

ではまた、次回も勉強会のネタで記事を書けたらなと

医学教育について(読書感想文1)

いつもの前置き

はい、先日の片頭痛の記事ですが、めちゃくちゃ伸びててびっくりしました。

やはり、インフルエンサーの先生方のリツイートの影響力を改めて感じましたね。

あとはマニアック目かなと思いつつ、PACAP38まで触れている記事が少なかったから注目があったのでしょうか

それはさておき、医学の勉強ではなく、医学教育について今ゆっくり読んでいる本の感想や気になったことを記録していけたら良いなと思います

読んでいて、いろんな専門用語が出てきて調べて、忘れてを繰り返しているのでブログのネタにしつつ記録していきたいと思いました(笑)

何故教育なのか?

趣味の話ですが、いつから教育に関心を持ち始めたか?はっきりと思い出せないのですが、
・部活動で上手くて言語化して自分のためにいろいろ頭を悩ませながら指導してくれた先輩

・実習や研究室で熱心に指導してくれた上級医の先生

を見て憧れたのかなと思いつつ

一方で、部活動でも分かりにくい指導をする先輩や、大学の講義で全く理解できないような話を延々と話す先生の存在があり、

一体、どこに両者の違いが存在するのか?
部活や職場で自分が指導する立場に回ったときに前者の先輩のようになるためには、どうしたらよいか?
ということに興味を持ったことがきっかけなのかもしれません。

 

後付けにもなるのですが、何となく顔を出した総合診療の勉強会で、患者さんとのコミュニケーションや関係作りそのものが教育に似てるなとふと感じたことですね。

 

外科的な処置に関しては医師に要求されるのは技術的な側面だと感じたのですが、

近年の医師と患者関係で言われてきた、脱パターナリズムで求められている患者さんに寄りそう力だったり相談を受けて、必要とする情報提供だったり助言を与えることは本質的に、知識や技術を与えてその人の内面に介入する教育と同じなのではないか?

つまり、教育ができる医師は後輩から憧憬のまなざしを向けられて、患者さんからもいいお医者さんだと思ってもらえるのでは?と考えるようになりました。
特に総合診療科のような患者背景を理解して医療を提供出来る能力が高い先生程、学生指導が上手な印象を感じました。

いくら伝達能力が高くても、教える知識が全くない指導医では困りますので
最終的には指導できるレベルの知識量を身に着けつつ、指導する教育的な力を培いたいと思いました。

 

教育自体に興味はあるけれど、医学教育学会に参加したことがあるわけでもなく、そういう直接的な勉強会に参加したことがあるわけでもない一介の学生にしかすぎません…

 

読んでいる書籍

指導医のための医学教育学: 実践と科学の往復 | 宏, 錦織, 沙耶佳, 三好 |本 | 通販 | Amazon

いきなり、指導医のための医学教育学なんてタイトルを国家試験も通っていない医学生が読むなんてどんだけマセたガキなんやて感じですが、

この本を読みたいと思った理由は
・単純に出版されたのが医学教育関係の書籍で新しかったこと
・卒業後、研修医になったときに上級医、指導医側の立場を知れること

特に後者が強いですね、
現行の医学教育の現場では、特に大学の臨床実習では、学生指導をすることに対するインセンティブが存在しないことが多いため、どのように指導するかよりも、リクルート活動的な側面が強い印象がありました。
一部教えることが好きだったり、興味関心が強い先生もいましたが、『学生にどういう知識や技術を身に着けてもらいたいか?』よりも『学生をどうやって自科に興味を持ってもらい自分たちがリクルートするか(入局宣言させるか)』に重きをおいていたのが自大学の臨床実習でした。

大学の実習自体に満足したことよりも不満の方が多かったのですが、
実際に臨床や研究で多忙の先生方の立場に立ったことがない一介の医学生の私が考えるこうした教育を望むという意見は机上の空論かもしれないと思ったときに

指導医目線から後輩指導でこういうケースで悩みますよね、ということを知れることは研修が始まった際の教育方針に対して何から意見や提案をするときに相手側を説得ないし、交渉する上で有用なのではないかと考えて今のうちに読んでみたいなと思いました。

 

目次読み

私は目次を読んで構成をつかむ読み方が好きなので、目次から読んでみたいと思います

  1. 医学教育総論
  2. 教育と学習
  3. 学習者評価
  4. カリキュラム開発
  5. リーダーシップマネジメント
  6. 情報工学
  7. 教育哲学
  8. 文化人類学
  9. 医学教育総論
  10. 医学教育研究

という流れですね

各章ごとに複数のチャプターがあり

チャプターは
最初に問という形議論の中心をしめしてから
症例提示のようなエピソードが紹介されて
具体的にエピソード中から考えてほしいことを抜き出した後
その主題についてエビデンスや医学教育の研究などの話が提示されて、ある専門家の意見、他の見解とを提示する流れです。

 

医学教育とは何ぞや?から始まり

教育や学習方法についてテーマがあり

そもそも評価をする意義やその評価の在り方

カリキュラムの意義とそのカリキュラムをどう作るか?

指導者としてのリーダシップとは?

ITを使った教育やコロナでの教育の変化

医師が教育に関わるうえで問い続けること

分化的な背景Contextにより教育も影響されうる

ふたたび医学教育を考え直す

医学教育を研究することとは

 

てきな雰囲気が感じ取れましたね
個人的には2章の教育と学習は自分が始めた勉強会をどう運営していくかなどに応用できそうで面白そうだなと感じました。

 

ではではまた

 

 

 

 

片頭痛(病態と治療)

いつもの前置き

はい、セレンです。

最近、勉強会を企画したり、呼んでいただいたりしたことで、ブログが更新できていませんが、勉強会向けに作った資料をそのまま貼り付ける、手抜きブログしたいと思います。

ブログの記載は手抜きですが、中身は結構勉強しました。

 

最近新しい治療がホットで、病態解析も進みつつある片頭痛について

Natureのレビューを中心にMKSAPやそのほかの文献調べながら

マネジメントに関わる病態や新しい治療薬など調べてみました。

CGRPPACAP38とか何それ?て人は読んでもらうと勉強になるかもです。

 

片頭痛の病態

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片頭痛治療

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茱萸湯(ごしゅゆとう)という漢方があり
トリプタン製剤が使用難しい場合などに考慮しても良いかもしれない

 

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手抜きというか、使いまわしですが、少しずつでも更新していけたらなと思います

定期的に自分が勉強会用にまとめたものを流すかもしれません。

ではまた

MCI 軽度認知機能障害について(MKSAP)

いつもの前置き

はい、セレンです。
ついこの間、志同じくする友人らと勉強会しようぜと話し合っていたところ、非常に将来有望で、オールスター感のある同期らが集まって勉強会することができました。

 

その準備のために、いろいろしており、ブログ更新できていませんでした。

今回は勉強した軽度認知機能障害について

スライド流用して更新したいと思います。

 

軽度認知機能障害について

簡単にいうと

認知機能低下があるけど、認知症の診断に至らない状態

これは客観的評価にすると
≒ADLが自立している場合は忘れっぽくなっても認知症でない

ということが一番近いと思いました。

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このMCIは加齢に伴い、多くの人で生理的に出現する病態であると考えられつつも、認知症の早期の症状ではないか?

早期に介入していけないかと注目を浴びてるポイント見たいです。

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ただ、MCIを現段階で加齢に伴う生理的現象か認知症の発症前か評価することは難しく、コリンエステラーゼ阻害薬などの有効性はないという研究から、現在は介入として効果が支持されているのは運動療法で、現在食事療法の大規模研究がおこなわれているみたいです。

 

認知機能低下を見たとき

認知機能低下を見たら、いわゆるtreatable dementiaを除外してからアルツハイマー認知症などの評価をしていくと思います。

これはMCIでも同様で、ADLが低下していなくても認知機能低下を見た場合はCureableな疾患を見逃さないことが重要で

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MKSAP的には上のようにスクリーニングを組むのが良いのではないか?ということでした。

 

Take Home Message

 

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まともな記事はかけていませんが皆さんのお役に立てれば良いなと思います

ではまた

関節液について(病態)

 

いつもの前置き

はい、今日は、関節液について考えていきたいなと…

最近卒業試験などその他諸々で毎日更新は難しいけど
少しずつ続けていけたら良いなと思います

 

関節液とは?

まずは定義ですが、

Synovial fluid (SF) is the viscous liquid in the synovial cavity and is secreted by the synovial membrane. Its function is to reduce friction between the articular cartilages of the synovial joint during movement. 

Biochemistry of Collagens, Laminins and Elastin, 2016

でSynovial fluid 滑液とも言いますよね

ご存じの通り
関節運動における摩擦を和らげる役割ですね

 

眼房水の流れや、髄液の吸収などはキチンと国家試験などで意識的に教えているけれど、関節液てきちんと学習していないと感じて調べてみました。

 

要するには、関節液は滑膜が産生し、滑膜で吸収されることが基礎知識として病態や診断を考えるうえでベースにしたい知識ですね。

 

臨床における関節液

関節液について考えるのは、おそらく、単関節炎などで、関節が腫脹している時に穿刺して、関節液の性状を評価したりすのではないでしょうか?

関節液(滑液)が減少すると、間接運動時の疼痛など起こりそうですが、関節液の評価というのは難しいと思います。

やはり、張れている、増加しているというのが臨床的に問題になる気がします

いろんな関節の腫脹がありますが、中でも関節液の貯留を最も評価しやすいのは、膝じゃないでしょうか?

関節腔が広く、外部観察しやすく、膝蓋骨が浮動するという特徴から最も評価しやすいなと思います。

 

関節液貯留 関節水腫をみたら

膝が腫れている、膝蓋骨の浮動など液体貯留を見た際には、滑膜が増殖ないし、炎症を起こす疾患が背景にあるのでは?と考えます

凡その鑑別疾患は

・変形性膝関節症

・過剰なトレーニングなど

・結晶誘発性関節炎

・関節リウマチや自己免疫疾患や結合組織関連疾患

・化膿性関節炎

 

急性 or 慢性
多関節 or 単関節 
で鑑別は変わると思います

 

Baker’s cyst

いきなり話が飛びましたが
いわゆる膝窩嚢胞についてです

これを考えるうえで、滑液の話してきました

 

この疾患は膝窩、膝の裏面に水が溜まる疾患ですね

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チェックバルブが膝の関節に形成されて、半腱様筋と腓腹筋の滑液包が拡大する病態です。

 

ソース画像を表示

 

Baker cystは膝の屈曲制限など運動的な問題や神経の圧迫、嚢胞の感染などが問題となります。

また、破裂することが、あり、破裂すると、たまった関節液が、下腿にたまり、腫脹し筋肉を圧迫することでいわゆるコンパートメント症候群のような病態を引き起こして疼痛をきたし、深部静脈血栓症の鑑別疾患としても考えられます(頻度は稀ですが)



なぜBaker's cystの話なのか?

これは、以前私が救急の現場で交通外傷で下肢痛を訴える患者さんの相手をしていた時に、膝窩の嚢胞を触れて、片側優位の下腿の腫脹を見て、救急車で患者さんに、膝が悪くて整形外科に通院していないか?関節の水を抜いてもらったことはないですか?と確認しました。

すると、整形外科の先生に膝を診てもらっていると返答があり
間違いないこれは、Baker嚢胞破裂だと思っていました。

 

救外のエコーで膝窩嚢胞が見つかり、矛盾はしないという結論を得て自己満足に浸っていたのですが、後日、指導医の先生から

『あの患者さん変形性膝関節症で通院していてBaker嚢胞で通院していたわけではないよ』ということを教えてもらい、もやもやしていたのです…

 

Baker嚢胞は膝の裏に水が溜まる病気で、それ自体が診断だと思っていましたが、病態的に関節液が増加する背景とチェックバルブが存在して生じうる疾患と理解すれば、

Baker嚢胞をみたら、ただ、関節液を抜いたり対象療法を行うのではなく、

滑膜を何か侵す疾患
特にRAやOAを疑いX線の評価や炎症の評価、また半月板損傷を疑い身体診察
必要に応じて抜いた関節液の検査なども行いたいと思います。

 

Take Home Message

関節液が溜まる=滑膜に何かしらの問題がある

Baker嚢胞は滑膜の問題+チェックバルブの形成

Baker嚢胞をみたら診断に満足せず、背景を考える