悪性腫瘍の基礎(悪性腫瘍②)

セレンです。雨が上がってようやく甲子園も少しずつ試合が進み始めましたね。

さっそく、今日もひとつ記事を書いていきたいと思います。

昨日から勝手に始めた悪性腫瘍シリーズですが、

前回のプレゼンで重要といった
①臓器②組織型③Stage④PS⑤治療経過

で②や⑤の治療のターゲットポイントを理解する上では

基礎医学的な側面は重要だと思います

 

基礎的な復習を兼ねつつ

 

悪性腫瘍とは何か?

細胞の分類

国家試験にでてくる腫瘍

 

 

の3点で行きたいと思います。

 

悪性腫瘍とはなにか?

一般の人でもいわゆる”がん”という言葉には聞きなじみがあると思います。

ですが、患者さんに結局”がん”てなんですか?て聞かれたときに一言で説明するのて案外難しかったりするなと思い

教科書を開いてみました。

 

がん=悪性腫瘍 

というのは、医学では、Neoplasm(悪性新生物)を指しますね

定義では『細胞が生体の制御を逸脱し自律的に異常増殖することによって生じる腫瘤、もしくは病変を意味する』
           ※入門腫瘍内科第2版より引用

 

腫瘍病理学の権威Rupert Allan Willisが提唱したのは

“A neoplasm is an abnormal mass of tissue, the growth of
which exceeds and is uncoordinated with that of the
normal tissues and persists in the same excessive manner
after cessation of the stimuli which evoked the change”

 

つまり

一般の人に説明するときには

①癌は細胞が異常に増殖してしまう病気

②細胞が増えることが制御しきれない状態

 

の2点を説明すると的を得た表現になるのかなと思います。

 

少し付け加えるならば、

腫瘍が原病変から転移浸潤して全身に広がる能力をもつこと必須ですね
転移浸潤しない癌であれば、増えすぎた腫物を外科的に切除だけして治療できますからね

 

細胞の分類

細胞がなぜ大事かというと、”がん”=悪性腫瘍の本質が

細胞の異常増殖で、何が増えてるの?てなるからです。

定義の段階であえて癌という漢字表記を使用していませんでしたが、

皆さんご存じではあると思いますが、

医学用語では『がん≠癌』なんですよね

がん=Neoplasm 癌=Carcinoma

という定義で Carcinomaとは
上皮性の悪性腫瘍を指します

 

悪性腫瘍の由来が上記の上皮性と非上皮性に分けられます。

上皮性はいわゆる外界に接する皮膚、口から呼吸器や消化器のような粘膜や分泌腺を持つ細胞組織

 この上皮性細胞が悪性腫瘍となると”癌=Carcinoma”

非上皮性は外界に接しない、血管、筋肉、脂肪組織などが代表です。

 この非上皮性の細胞が悪性腫瘍となると”肉腫=Sarcoma”

細胞の由来から考えると分かりやすいように発生を意識して

私自身は

上皮性=外胚葉、内胚葉系の細胞

非上皮性=中胚葉系の細胞

と概ね考えてしまうのが良いかなと思います。

 

腫瘍=tumorが
ラテン語で腫れ物を指すように、これらの癌と肉腫は、固形の塊massを形成することが一般的で
いわゆる固形がんといいます

 

なぜ固形がんという言葉が存在するかというと

一つ例外的な話が中胚葉系の細胞の中で

血液系の造血器関連の腫瘍(白血病悪性リンパ腫、多発骨髄腫など)は別個に扱うことが多いです。

というのも、感染症でいうところのFocusが不明瞭で外科的な治療が存在しないことで分けているのでしょうか

 

国家試験に出題される悪性腫瘍

 

漏れは多少あるかもしれませんが

前述の固形がん、血液癌などのくくりごとに

整理してみました

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悪性新生物、さすがは死因統計の第一位を占めるといったところですかね

まとめている最中で、神経内分泌腫瘍や胚細胞腫瘍て上皮性腫瘍ではないけれど、肉腫に分類するような疾患でもないなとか…

やっぱり、臓器の専門家の先生でも腫瘍に携わる先生方は一部というのがうなずけるくらいに複雑ですね

 

近年の医学生のほぼ全員がみてるという国家試験予備校動画ですが、

国家試験でも非常に出題問題数が多い悪性腫瘍ですが、予備講義でも、感染症や免疫疾患は病態別にまとめる講義があるのですが、悪性腫瘍の病態をまとめた講座は少なくて

臓器別疾患を学ぶ一環でその臓器の腫瘍という形態の講義が主体なんですよね。

 

悪性腫瘍でこれだけ疾患ありますよて、予備校だったりでは教えてもらう機会が少なかったのでまとめてみて良かったかなと思いました。

 

 

医師になる第一歩として医師国家試験には落ちることができないので、まず国家試験に出題される悪性腫瘍について少しずつ、臨床を意識してまとめていきます。

それでは、また