初期研修病院について④教育体制(就職活動)

はいセレンです。

 

とりあえず採用試験を受ける合間に初期研修病院の見方についての記事を書くと、自分の中で初期研修病院で何がしたいのか明確になるので、面接で聞かれたときに、偽ることなく自分を再認識できて、自己PRが上手になれる気がします。

 

この内省するのに、良いかなと思います

 

前回の記事では初期研修病院の
・どういう人が働いている

・どういう役割の病院なのか

に着目しましたが、今回は

 

教育の体制について触れていきたいと思います。

特に、教育体制は教育環境を大事にしたいと考える情熱的な医学生を勧誘する上で最大のPRポイントです。

 

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教育環境について

ローテート①カリキュラムの確認

まず初期研修では、

必修として、決められた診療科をローテートする決まりがあります

いわゆる学校でいうカリキュラム的なものですが

初期研修はローテートする科が決まっているからどこでもあまり変わらないという意見をいう人もいますが大違いです。
とりあえず実際の必修について見てみましょう

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【初期臨床研修制度】2020年度から必修7科目化、外科など復帰―医道審部会が制度見直し案を了承|Web医事新報|日本医事新報社 (jmedj.co.jp)

凄いですよね、半分が必修です。

ところが、この選択期間の48週も病院よっては、外科は2か月が必修だという病院や、麻酔二か月、救急2か月などで選択の期間が短い病院がほとんどです。

 

細かい話をすると、診療科の交代を月始まりで切り替える風習?という文化の関係で必修期間が56週で終わることがなく、内科6か月、救急3カ月、その他5か月の必修が付くため必修が最低限の病院でも実質10ヶ月の選択期間で、外科や救急を長く義務付ける病院が多いため平均すると選択科目は8か月程度が多いですね。

 

また選択期間が例えば8か月あったとして、例えば、全部〇〇内科に行きたいという場合なども受け入れが難しいというケースが多いので、自分がここ長く研修したいと思う診療科がどれくらい回れるか確認してみるのも良いと思います。

 

ローテート②内科ローテートの極意

 

実は診療科が同じなら、指導医にカリスマみたいな先生がいるかいないかだけで大差ないんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんね

内科系志望の私がローテートのシステムで気にするのは

そう、内科ローテートです

私が内科志望だからという理由を除けば

①初期研修期間で最低1/4を回るから
②臨床医としての基本である病棟管理を学ぶ場であるから
①は研修医期間の1/4を占める診療科の回り方を気にするべきですよね
②に関しては病棟管理が一切ない診療科や自由診療、研修医後は直接的な医療から外れる人にとっては無関係ですが、外科系の志望でも病棟管理は基礎になりますよね

 

大きく分けて内科ローテートは病院で3パターンあります

A:臓器別の内科を一か月ずつ合計6科をローテート
B:臓器別の内科を二か月ずつ合計3科をローテート
C:総合内科や、統合された一般内科を半年間研修

それぞれメリットとデメリットがあります

 

正直AとCが対極にあり、Bは中間的な感じでしょうか


Aタイプは大きな病院や大学病院に多いですね、

利点はいわゆる感染症内科や膠原病内科、血液内科などの中規模の市中病院では持っていない専門性の高い診療科を回る機会があり、その分野に関して医学的に深いことまで聞け、最新の情報に触れる機会があることです。また一か月ごとにいろんな科をローテートすることで、他大学出身者が大学病院で入局先を考える際には、いろんな診療科の先生方の雰囲気を肌で感じる機会があってよいと思います。

欠点は1か月ごとに診療科を交代するため、病棟ごとのルールの覚えなおしが多く、勉強する時間よりも業務を覚える時間が多いことでしょうか、また、どうしても、入院から退院まで一貫して診療にあたる機会も少ないことも学習機会としては失われてしまうかもしれません

 

Cタイプは小規模な病院や、総合内科、総合診療科が主体の一部の病院のシステムです。

利点は、病棟のルールなど業務的な内容を覚える負荷が軽いため、医学の勉強や患者さんに直接接する時間が長いこと、また一貫して入院から退院まで見る機会が多いこと、また、様々な系統の疾患の患者さんを同時に見ることができるため、全身評価や臓器に限定しないで患者さんを管理できるスキルを磨きたい人にとってはよい環境かなと思います。

欠点は、小病院の場合は、本当に専門的な処置が必要な必要な患者さんの診療に触れる機会が少ないこと、また臓器の専門医の先生が少ない場合は、治療のアップデートが遅れている場合もあるかもしれません。最も気を付けるべきは、内科がひとくくりの病院は指導医の先生が少ないことも多く、ウマが合わない指導医と半年間同じ診療科を回り続けるの可能性があります。

 

BタイプはAとCの中間的な立ち位置が多いです。

利点欠点もAとCの間をとったようなところが多く、
適度に専門性をみつつ、業務を覚えなおす負担も少ないのが特徴だと思います

主に中規模の市中病院で一般的な回り方だと思います。私の見た病院では、消化器内科、循環器内科、糖尿病内科は持っている病院が多く、神経内科や腎臓内科やその他の内科から3つ選んで回るようになっている病院が多いです。
循環器内科や消化器内科は義務となっている病院もあるので確認するとよいでしょう
カテーテル検査や内視鏡検査は興味がない場合は義務といわれてしまうと嫌煙されてしまうかもしれません。

 

地域研修

これも義務だし田舎で一か月、どこ行っても同じと思う人もいるかもしれませんが

これも勉強になる環境がある地域研修と、過疎地の診療所に送り込まれて、
外来のアナムネ係をするだけの病院があるらしいですが、研修内容の是非は地域研修の病院は見学できていないので割愛しますが、

1か月間リゾート気分が味わえる地域研修がある場合があります。

コロナ渦なので、地域研修で遊ぶぞ!とか大声で言えませんが、
来年には落ち着いていてくれないかなとおもいます

 

具体的には、聞いていいなと思う要素は
・冬にスキー場が近くにある地域の診療所に研修に行ける

・夏に海がきれいな離島の診療所に行ける

・温泉つきの宿舎がある

・食事美味しい

なので、是非研修担当の先生は楽しい地域医療実習ができる診療所での一か月の研修ができるようにしていただけるとPRポイントになると思います。

学生は、スキー場の近くの診療所だと思っていいなと思っていたら、地域医療の受け入れ状況で夏にしか行けなくてがっかりした。という話もあるので、地域医療の時期がどれくらい融通が利くかもポイントですよ(笑)

逆に豪雪地帯に地域医療で雪道運転自信ない場合は考えただけで地獄ですよね…

 

目次に書きそびれましたが、ローテートと関係があって重要なたすき掛けについても書いていきたいともいます

 

海外研修

これができる病院は限られますし、コロナウイルス感染症が落ち着くまで難しいですけど、初期研修期間に海外の病院に行けるところ一定数あります。

何がいいかというと

病院から賃金を頂きながら海外を楽しめることですね!

アメリカや海外の病院にいっても大した労働はできないわけで、学生実習のように、ついて回ったり、一緒にご飯食べたりがメインだと思いますが、
仕事として、海外に一か月行けるというだけで楽しそうだなと思います

早くコロナウイルス鎮静化してほしいものです。

 

たすき掛け

病院同士で連携していろんな病院の見ることができるものですね

小規模な病院で地域医療に触れたり、慢性期医療をみつつ、大学病院でも専門的な医療に触れられますなんていう触れ込みであたかも良い点ばかりのシステムに見えますが

このたすき掛けシステムは注意しなければいけない落とし穴が3点ほどあります。

・給料はどちらから支払われるか

・カリキュラムの制限

・引っ越しや宿舎、病院間の距離

 

まず給料問題ですが、大学は一般的に給料が低いから市中病院で研修したいう話がでると、たすき掛けで市中病院にいくと市中病院の給料がでて、補填できるなどといい面ばかり強調されますが、

例えば、

・そのたすき掛け病院で半年以上研修しないと給料体系は大学病院から支払われるシステムだったり、

・職員手当がついて高くなっていて、たすき掛けで来た場合はもらえなかったり、

・当直手当の額が違ったり

・時間外も大学のルールになったり…

・ボーナスがもらえない

など裏があることがあります。具体的に確認した方がいいですが、これは実際にたすき掛けしている先生に聞かないと、後だしじゃんけん的に言いなりなので、気になる方は実際にたすき掛けをしている研修医の先生に確認しましょう。

 

カリキュラムの制限ですが、たすき掛けで行く場合、自分の希望する病院、そして診療科もいくことができるとは限りません。たすき掛けを受け入れる病院はたいていそこを基幹にした研修医もおり、おそらくそちらの研修医の希望が優先される場合が多いと思います。さらに、たすき掛けのカリキュラム、相手側の病院側にお願いして受け入れてもらう形になるので、一度決定した後で研修の中でローテートを変更したいとなっても受け入れてもらえない可能性が高いですし、事務手続きを二重に踏むのでできたとしても非常に面倒くさいと思います。

 

最後に引っ越しや宿舎の距離問題ですが、
自家用車で30分程度移動可能な距離ならば、車を使う人なら困らないと思いますが、

大学などのプログラムで都道府県内の病院を移動する場合、
物理的に引っ越しが余儀なくされる場合がありますが、大学や病院によっては宿舎がなく、家賃二重払いや敷金礼金など重なった結果、三カ月のたすき掛けでひと月分の給料が引っ越し関連で消失する話を聞いたときにはぞっとしました。

必ず、物理的にはなれた病院でたすき掛けを行う場合は、宿舎の有無、入れない場合の家の借り上げなどの制度を確認してから考えましょう

 

オリエンテーション期間

国家試験に受かったとしてもいきなり病院業務を始めることはまずないと思います

ローテートが開始される前にこのオリエンテーション期間が病院ごとに設けられており、職場のルールや病院の案内、カルテの操作指導などがあります。

1週間-2週間で平均して10日ほど行う病院が多いですが、
私の知る限り短いと3日、長い場合は1か月あるところがありますね

じゃんじゃん働き人は短い方がいいかもしれませんが、ある程度研修にゆとりを持たせてくれる病院の方がメンタル的に負担は少ないかもしれません

一か月もオリエンテーションを行う病院は病院業務一切していないのに、当直などの手当が少ないとはいえ、お給料がもえらえていいのかなという話をされてました。

一方で入職4日目に当直に入った先生の話を聞くと、何もできなくて困ったが、できない前提でハードルは低く、業務の中で習うより慣れよで覚えられるとのことです

気にする人おるんか(笑)てところですが、
ここも好みがあるかもしれませんね

 

レクチャー

これは教育的な病院ではよくある文化で、これが売りという病院もありますよね。

レクチャーは内容で大きく二種類あると思います。

 

①初期研修医向けに役に立つ内容を形式化して授業のように行うもの
②研修医の担当患者に関して診療のTipsをミニレクチャー

 

①は多くの病院で教育に力入れる診療科で行われていますね

業務時間に差し支えない朝の時間やランチの時間を利用して行うケースが多いのですが

私が一番すごいと思った病院は、病院全体で毎日研修医向けに各診療科の先生が日替わりで研修医向けのトピックスを20分程度で伝えるものですね

感染対策も兼ねてZoomで行い、他科の先生も興味があれば見れるようにして、
録画とスライドをアーカイブで保存して見れるようにしているのはすごいなぁと思いました。

泌尿器科や眼科や耳鼻科など研修医が回らない可能性もある診療科の先生方が救急のときに、この初期対応だけ覚えてほしいとか、コンサルで何を求めているかを具体的にレクチャーすることで、研修医は勉強になり、指導者側も働きやすくなるそうですね。

このような勉強会を行うことのPRポイントは、オンオフをはっきりさせたい人には非常に魅力的だと思いました。仕事以外の時間は医学書を読みたくないという人でも、朝や昼の勉強会だけに年間毎日出ていれば、休日や時間外は自分の趣味に没頭していても効率的に、現場で働ける知識が身に付くとアピールできます。

おそらくこれは病院全体で教育を頑張ろうというやる気さえあれば、多くの病院で実現可能な取り組みなのかなと思いました。

②は指導する先生の技量に左右されることが多いかなと思います。しかし、いつかに役に立つであろう情報をレクチャーされるよりも、今目の前で使える内容をレクチャーしてもらえる方が、学生や研修医にとっては有益に感じるのかもしれません。

スライドを準備する時間がない中で、アドリブ的に研修医が求めているであろう知識を提供出来る先生は一握りで、全国から医学生を集める先生方には、この指導ができることが評判で教わりたいと集まるかもしれませんね

 

カンファレンス・プレゼンの機会・教育側に回るチャンス

これらも、嫌いという人は多いを思いますし、全員が興味ある内容ではないですが

教育力を求める場合は非常に重要な項目だと思います。

なんでこれをまとめるんだという意見もあるかもしれませんが

アウトプットに関係としてまとめさせてもらいました。

 

See one, do one, teach one.という言葉があるように、

みて、やってみて、教える側に回ることで理解が深まるのではないでしょうか。

また、教科書をただ読んで勉強するよりも、テスト形式で問題を解いてみることで、自分に足りていないことが認識できる人が多いのではないかと思います。

実際にアウトプットの場を得て、フィードバックをもらえる環境が自分の至らない点を認識して成長につながる環境だと考えます。

なので、研修医の先生が発現する機会のあるカンファレンスや
入院患者のプレゼン

また医学生の指導をする機会があるのは学習環境としてアピールするには良いと感じます。

 

抄読会・EBM教育・学会発表

これは、勉強の仕方を勉強する意味で重要なのかなと感じます。

医学生の中で、すでに研究室に通って論文を発表したことがあるというスーパー医学生にとっては教えてもらう必要はないかもしれませんが…
論文の解釈を自信もってできる学生は少数派でないでしょうか?

大学病院などの博士号を持っている先生がおおい病院はやはり抄読会が盛んで学ぶ機会があるのはメリットではあると思います。

もちろん市中病院でも、EBM教育に力を入れておられる先生もいます。

本格的に勉強したいならやはり大学院に行くのが一番なのかもしれませんが…

 

研修文化

病院ごとに初期研修の歴史などあると思いますが、

革新的な研修病院と

保守的な研修病院があると思います。

 

研修医からの意見を取り入れて、いろんな制度を取り入れて試してみようという病院と

うちは、こういう研修が伝統で代々こういう研修をしているという病院ですね

 

偏見ですが、いわゆるチーフレジデントという存在に注目してみるといいかもしれません。

チーフレジデントとは気になる人は下のリンクを見てほしいのですが…

JACRA official website – Supporting tomorrow's chief residents. (jacra-med.org)

いわゆる、米国の文化であったチーフレジデント制度を日本にも取り入れて研修医に主体性を持たせて変えていこうという流れですね。

当直体制をこうしてほしい、
ローテートのルールを変えてほしいという

意見を一人の意見としていうと病院側は受け入れにくいですが、学年の研修医の総意という形でチーフレジデントがまとめていうことで、病院側に意見がしやすくなるなどのメリットがあります。

 

チーフレジデント制がある病院は形ばかりの病院もあるかもしれませんが、新しい取り組みや研修医の意見を比較的取り入れてくれる病院が多いかもしれません

 

もちろん必ずしもチーフレジデント制度があるからいいとか、改革することがいいということもありません。研修制度が変わるときは改善だけでなく改悪になることもあり得ます…

それに、見学していいなと思っていた制度がなくなっているかもしれません
その場合は復活するように提案していけばよいのかもしれませんが…

 

 

 

非常に長くなりました。

まだまだ、初期研修病院を考えるうえで見て置くべき点はありますが…
また次回書きたいと思います。

ここまでお付き合いいただきました皆さんありがとうございます。

あくまで教育に関心のある内科医志望の学生の考えではありますが

研修内容てどこでも同じというわけではなく、まったく違うものですよね。

 

初期研修病院の就活を指す言葉のマッチングは

婚活でも使われるように

 

初期研修病院探しは、恋人探しみたいなものなのかもしれませんね…
それぞれ個性があって、病院見学(デート)を重ねてお互いにいいなと思った二人がマッチする…

こんな、尻軽でいろんな病院を浮気してる私を取ってくれる病院はあるのだろうかと不安にもなりますね

 

ではまた次回の記事も読んでいただければ嬉しく思います。