初期研修病院について⑤労働環境(就職活動)
はい、セレンです。
今日もブログ書いていきたいと思います。
前回は教育の具体的内容
ローテートなどを中心に
書いてきました。
今日は労働環境に注目していきたいと思います。
労働環境
これは、巷にいうハイポ/ハイパーどっちなのか?という評価に近いといえると思います。
ただよくある勘違いで訂正してほしいと思うのは、
いわゆるブラックな職場、ホワイトな職場というよく言われる表現と
労働的な忙しさや自分の時間が取れるかどうかは別物で
そもそもブラック企業の定義自体が曖昧で共通認識がないのではないでしょうか
「ブラック企業」ってどんな会社なの?
厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、など
だそうです。
確かに①の長時間労働やノルマを課す という点について、医師という職業自体
特に病院勤務であればほぼ全員当てはまることから医者はみんなブラックと言えてしまうかもしれません…
一般企業と比較したら初期研修はブラックかもしれませんが、医師という職業の特殊性や業務独占で安定した賃金をもらえるのである程度は目をつむろうと私は考えてます。
ブラック企業の定義自体なので曖昧で巷でよく言うブラック病院の定義は人それぞれ違うと思います。
私にとっては初期研修は、労働を提供する代わりに給料をいただきますが、それと同時に教育してもらう期間だと考えているので、ギブアンドテイクの関係の不均衡がいわゆる、悪い場合をブラック、良い場合をホワイトと呼ぶんじゃないかと考えます。
ギブ:労働時間、仕事量
テイク:給料、教育環境
よく仕事しないでよいそれなりの給料をもらえる病院はハイポでホワイトだと考える人もいるかもしれませんが、
私にとっては、何も勉強にならない環境で飼殺し同然に放置される初期研修はネグレクトじゃないかとすら思います。
もう虐待ですよ(笑)
ハイパー≠ブラック、ハイポ≠ホワイト
だという違いは認識して分けて考えるべきだと思います。
チーム制と主治医制を比較
近年はチーム制を行う病院が多く、主治医制の病院の方が少ないと思います。
ただ、これも、完全主治医制ではなく、
主治医制だけど、時間外の急変は当直帯の先生が見ることもあり、一概にどっちかということは言えません。
チーム制
基本的に上級医が投薬や治療、検査など考えて行います。
教育をキチンと受けたいのであれば、上級医が思考プロセスを共有してくれる時間がどれだけあるかを確認することが重要です。
カンファレンスや回診中前後で指導する習慣や研修医が疑問を聞きやすい雰囲気か同課が重要です。
病院側の都合で、業務の効率化や研修医の医療ミスの責任を病院や指導医もとることを考えると最も、病院側に都合がよい初期研修の指導は
研修医にカルテ書きや入院診療計画書、退院サマリーなどの書類仕事だけを、
指示だしや検査、治療を上級医が行うという分業システムにが都合がよいため、
教育に力を入れていない病院でチーム制というと、回診を一緒にして
初期研修医は午前中、カルテ記載終わったら昼ごはんね
夕回診後カルテと書類書き終わったら帰ってもいいよという研修です。
確かにDutyの仕事を終える能力は身に付きますが、おそらく考えないで仕事を覚えて上級医に相談する癖がついたら、思考放棄して成長はそこで止まるような気がします。
もちろん、内視鏡だけしたいという希望のある先生や外科手術がうまくなりたい先生ならば、価値観は変わるのでしょうが…
これは
研修医にカルテ何人分書いているか確認したり、カルテをSOAP形式でキチンとかけているか、研修医のアセスメント能力を見ればある程度予測が付きます。
研修医の一年目などに、1日15人以上のカルテを書かせている病院は注意した方がいいかもしれません。
3年以降に一般の市中病院の病棟業務を行うつもりがあるなら、AやPの思考能力が見につかない教育環境でないか確認した方がいいのではないかなと思いました。
もちろん自分が上級医であれば、雑用仕事を研修医に任せて、病棟の治療や診療に従事できて、きちんと担保された休みが取れるのは素晴らしいと思います。
主治医制です
一方で、主治医制だから実力が身につくという保証はないですね。
主治医制は見るからに忙しいですし、これも経験できるといっても、放置されて我流でそのまま、指摘される機会がないまま仕事を覚える危険性もあります。
働き方改革が進むこのご時世であえて、チーム制でなく主治医制を貫く病院は
リスクを加味したうえで、教育的に勉強する機会が多くなると考えているため
主治医制を維持する病院ならば教育に力を入れている場合も多いとは思います。
自分が主治医として、検査や治療の計画にかかわるため、
・疾患を理解するための勉強に対する真剣度が変わる。
⇒チーム制では、口頭試問に答えられれば、君優秀だねで終わるかもしれませんが
主治医制では、具体的に現場で求められる治療や検査の解釈が要求されるため、
自分に足りない知識や課題が見えてきやすいのではないでしょうか
・自分の立てた治療計画が施行されれば、その答えは患者さんの予後で否応なく突きつけられる。
⇒感染症に培養取らずに抗菌薬を開始した後に効果がなかったなど、自分の失敗が直接的に影響するので、受動的な姿勢でいられません。
主治医制のもち患者数は、その患者の重症度合い、研修医の熟練度、研修医のキャパによると思いますが、
2-8人程度が多いと思います。半年近く内科を回った優秀な研修医の先生で14人見ている先生もいましたが…
受験勉強を突破してきている皆さんならわかると思いますが、教科書をただ流し読み流しても知識は定着しませんし、問題演習だけして、解説をきちんと読まないと成長できませんよね
ある程度の知識を身につけたら、問題演習で、自分の理解していない点を把握して、理解を深めていくのと同様だと思います。
実践やアウトプットする頻度、上級医からのフィードバックと、適度なレクチャーや自主学習のバランスが重要なのかもしれません。
救急システム
救急は3か月必修で、当直業務が週一回程度と考えると非常に重要ですね。
今は地域によっては救急医療=コロナとの闘いとなっている場合もあるかもしれませんが…
救急は、
・救急の専門の先生が常時いるかどうか
・病院が3次救急か2次救急科か
・研修医は救急車対応するか?Walk inだけか?
・ER型救急
・ドクターヘリ、ドクターカー
ここら辺ですかね…
救急医志望の場合は救急医が常時いて指導してもらえる病院に魅力を感じると思います。週一回の当直や月一の日勤ではいる救急当番のたびに、救急が専門の先生に指導してもらう機会があるのは魅力的だと思います。
ただ、救急医が常時いる病院はごく一部の病院に限られ、おおよそ3次救急の病院に限られてくると思います。
では、3次救急であるほうが、2次救急の病院よりいいのか?というとそういうわけでもありません。
確かに、3次救急の病院には、2次救急の患者やWalk inの患者さんも来ることがあり、大は小を兼ねると思いがちですが、初期研修で考えると、
3次救急の病院で初期研修医が1-3次の救急をすべて関わる病院はむしろ少なく、
救急科ローテート中は救急車対応することもあるが、当直や日直はWalk inのトリアージが済んだ患者さんの1stタッチなど役割が振られていることがあります。
病院見学で実際に当直見学を希望するのが良いのかなと思います。
救急車もWalk inの患者も色々見れる救急がいわゆるER型救急です。
ER型救急を謳う病院は救急医療に力を入れている病院が多いため、救急志望にとっては良い環境なのではないでしょうか。
最後に、救急で災害医療や、外傷などを多くみる機会のあるドクターヘリなどある病院も興味がある人にとっては参考にしてもよいかもしれません。
ドクターヘリも実はランクがあるそうで、酔いやすい揺れがひどい機種と快適な乗り心地の機種があるそうで興味のある方は実際に乗っている先生方に聞いてみると、会話が弾むかもしれませんね(笑)
採血当番
再受験や一部の人は違うと思いますが、
医学生の卒業時に採血を完璧に自信もってできますという人は少ないと思います。
救急でのルート確保や、血液培養のなどで、採血の手技は基本になるため
修練を兼ねて研修医に採血当番を課す病院が多いです。
この採血は
・外来検査の検査室で採血を行う研修
・病棟の担当患者さんの採血を行う研修があります。
前者はそこまで気にしなくてもよいかもしれませんが
後者で毎朝の採血は初期研修医がやるという文化の病院もあります。
つまり毎朝6時や7時から採血を行うので、毎朝5時や6時に起きる必要があります。
採血自体を完全に看護師さんがやってくれる病院もありますし、上級医が採血を日常業務で行う姿が一般的ですよね…
慣例的に研修医は朝早くきて、採血をするが仕事という病院もありますが私は早起きは得意でないのである程度のレベルに達したら、もう採血当番やらなくていいよねていってくれる病院が私はいいなと思いました(笑)
色々労働環境について書きましたが
大変でも自分が成長できると思えれば、体を壊さない範囲で頑張るのはむしろ楽しいしやりがいを感じると思います。
頑張ったら成長できる、そういう土壌を用意して、見守りながら研修医にムチ打つ病院は必ずしもブラックではないと…
労働基準法守れない時点でブラックだといわれてしまえばそれまでですが…
参考になれば幸いです。