初期研修病院について⑦キャリア的な環境(就職活動)
はい
セレンです
お久しぶりです。試験や就職活動が忙しく、しばらく更新できていませんでした。
初期研修病院について、
人や、病院の役割、教育、労働、設備とみてきましたが
最後に見ておきたいところや
どこに注目するかポイントです。
それはキャリアについてです。
医師のキャリアは、数十年前までは、卒業大学のどこかの医局に入局して大学院に進学して博士号と専門医を取ってというものだったかもしれませんが…
近年、初期研修制度の変更に伴い、市中病院で初期研修してから大学医局に所属せず、自分で医師のキャリアを切り開いていく先生も増えており、多様化していますね…
おそらく、このブログを読む医学生は最初から入局することを考えておらず、ある程度は自分でキャリア設計をしつつ、必要に応じて医局の助けを借りるために入局したい人や大学医局から距離を置きたい人が多いのではないでしょうか?
志望科と入局(初期研修病院の医局)
日本の医師は地域によって専門科にシーリングがかけられていますが、現行のシステムでは、志望する診療科を目指すことができるため、
志望科を絞ることが、キャリアを考える第一歩になる人が多いと思います。
志望科を考えたときに、循環器内科や消化器内科であれば、初期研修病院で一人も先生がいないことは非常に稀ではあると思いますが…
志望科がある研修病院を選ぶべき VS 選ばなくてもよい
論争があります。
これには、賛否両論があると思いますが、私個人としては、志望する診療科や興味がある研修病院が無難だと思います。
というのも、学生時代に考える診療科のイメージと働いてからの診療科のイメージは大きく変わるため、初期研修期間に1か月でもお試し期間として志望する診療科で働いてみることは、3年目の進路を考えるうえで大切なのかなと…
2年間実際に研修していなかった診療科に3年目で飛び込んで思ったのと違ったと感じることも少ないと聞きました。
一方で、外科系に進む先生で、3年目以降は病棟管理を学ぶ機会は少ないからと、初期研修の2年間は内科的な管理をきっちりと勉強できる病院で研修して、外科はあまり回らないという例も聞いたことはあります。
個々人の価値観や考え方によると思いますが同じ条件であれば、志望科がある病院で、3年目の進路のお試し的な自由選択を選べるところが良いのかなと考えます。
日本国内にとどまるつもりがない学生以外は、志望科を決めると
キャリアを考えるうえで、まず最初の分かれ道は、入局 or Not
という、ある種究極の二択になるのではないでしょうか?
あくまで、私個人は内科系で、できるだけ多くの分野の診療に従事できる、総合内科や総合診療科を志望しているため、外科のキャリアや臓器別の内科については詳しく知りませんが、
外科系の診療科では
入局をしないで外科のトレーニングが積める環境は極わずかで、地域や一部の特殊な病院に限られてくるため、基本的には外科志望の先生はどこの大学に入局するかを考えることが多いそうです。
内科系では、
研究に興味があるないしは、臓器別の専門家を志望する場合は、臓器別の専門の場合は大学医局の力も強く、自大学や、初期研修を終えた地域、また生まれ育った地域の大学入局する場合が多いです。
総合診療科や総合内科の場合、地域にもよると思いますが、大学医局よりも、病院独自の人事で教育や診療を行っていることが多く、医局に属していない先生が多い印象があります。
というキャリアの話は一回おいておくと
初期研修を市中病院で行う場合は、関連医局を把握しておくと、自分が将来入局を考えて医局の先生方の雰囲気を知ることができます。
(関連医局は診療科ごとに違うケースもありますね)
また、医局派遣で来ている先生か、病院のスタッフかを確認することは、指導してもらいと感じたときこそ確認することが重要で、
医局派遣の先生の場合は見学時にこの先生に教えてもらいたいとおもい、入職したら、張るから別の病院に異動していたという事例も少なくないですね…
後期研修関連 基幹プログラムなど
これは、三年目の研修をその病院で継続できるかどうかを考えるうえで重要です。
志望科の基幹プログラムを持っている病院であれば、初期研修後継続してその病院で3年目以後も研修ができるため、三年目以降の行先を必ずしも探さなくてよいという点です。
特に内科専門医に進む可能性がある場合は、悪名高いJ-OSLERの症例登録を初期研修の症例も使用すると考えた場合、内科の指導医の先生がいる病院や内科の基幹プログラムを持っている病院の方が、専門医取得を考えると有利なのかなと…
初期研修は必修でローテートが決まっている診療科が多いことや、まず、社会人として仕事を覚えることを考えると、後期研修の専門的な知識や技術の修練という目標の違いから、
初期研修によい病院と後期研修によい病院を分けて考えるという考え方もあると思います。
基幹プログラムを持っている病院を必ずしも選ぶ必要はないですが、その場合、後期研修先を初期研修1年の間に見学に行き、専攻医のプログラムに申し込む必要が生じます。
学生時代ですら、病院見学がめんどくさいと考える人の場合はおそらく、後期研修先を働きながら行うことはストレスなんじゃないかなと思います。
見学に行くうえで重要なのは、立地、給料、休日の3つです
・立地
東京や大都市圏に比べて、田舎で地方都市へのアクセスも悪い地域で研修する場合は、飛行機の本数や見学のためにかかる移動時間の面で難しくなります。
田舎でも、空港が近くにあれば、東京や近隣の都市には近いことが多いですが、本数も少ないため、弾丸で見学に行って帰ってくることが難しくなります。
・給料
後期研修病院を探す場合も、交通費補助などを出す病院も多いですが、出してくれない病院もあります。都内の大学病院で一人暮らしのような例を除けば慎ましく生活すれば、交通費の捻出は不可能ではありませんが、学生と違い、時間的に余裕もなく、
18切符で安く移動するよりも、飛行機や特急で時間を有効に使うことを考えるとある生活に困らない給料が欲しいかなと思います。
・余暇
有給や、きちんと土日がある病院かどうかですね…
これはもう2年目の初期研修の先生捕まえて、見学行きましたか?
行く時間ありましたか?と聞いて見るのがよいと思います。
初期研修から後期研修を連動させるひとと、変える人など様々ですし、
入局する人、時には海外に行く人、起業する人など…
実際に気になる病院で初期研修終わってからの進路を聞いて見るのが良いかと思います。
※余談ですが
J-OSLERに登録した症例を5年以降の専門医試験受験前に提出して添削されて、必要に応じて差し戻しとなることがあるそうで、初期研修病院でない病院で働いていた場合は差し戻しの症例が初期研修時代のものであれば、研修していた病院に行き、カルテを確認する作業が必要になります…
⇒つまり、沖縄で初期研修をして北海道で後期研修をして、初期研修時代の症例が差しも出されると、J-OSLERの症例登録のやり直しの為だけに、沖縄の病院に行き、カルテを確認する必要があります。
という背景もあり、特に内科専門医を考える場合は、初期研修病院と後期研修病院を同時に考える必要があるのではないかなと
(首都圏のように、1時間程度の電車の異動で初期研修した病院に行ける環境であれば気にしなくても良いかもしれませんが…)
英語・プログラミング
これは、病院の規模や一部のプライベート病院や大学が強いと思います。
医学以外のところで自分の強みを持ったり、
研究や臨床で海外に行くキャリアを夢見る人も一定数いるのかなと…
英語ですが、
渡米を考えたときに、臨床留学するなら、USMLEを揃えて、推薦状を書いてもらって、英語の練習を隙間時間にしてといろいろな準備が必要になります。
大学病院では、臨床留学なら準備は同様ですが、研究留学の場合はある程度の貯金があれば、コネで研究留学に行けたりしますね…
USMLEの勉強などして臨床留学に対して少なからず憧れがある私が知っている浅はかな情報では
臨床留学を考えた場合
・推薦状をかけるBossがいるかどうか?
・臨床での渡米経験者の人数
・海外志向の強い動機が集まりやすい環境か?
・医師でなくても、医療面接やプレゼンなどの指導ができる外国人がいるか?
・職場の渡米への理解
このあたりが重要だと思います。
渡米するための試験や、マッチング参加のための就職面接を受けに行くことは、渡米を考えたことがない先生では、なかなか理解してくれないため、上級医に渡米経験者がいたり、過去に渡米した研修医などがいない病院では環境的に難しいですし、
帰国子女でもなければ、コミュニケーションを練習できる環境かどうかは非常に重要な点だと思います。
プログラミングでは
私自身はずぶずぶの素人ですが、研究などする場合にPythonなどは勉強している先生も多いと聞きますし、アプリ開発など様々な需要があるかなと思います。
素人なのになんで書くんやて話ですが…
研究に使えるのは、もちろんなんですが、
カルテ開発という、ジャンルもあるのかなと思い、書いてみようとテーマに上げました。
いわゆる全国の人気病院の説明会や見学会に何度か顔を出しているのですが(笑)
こぞって人気病院が力を入れがちな国際性に関しては学生側も質問するケースが多く、プログラム責任者も定型文のような返しが多いのですが、
たまたま、電子カルテを独自に設計した病院だったので、業者から買わないで電子カルテを自社で作ることについて興味があり質問したところ、非常に興味深い話を聞けて面白かったなぁというのが、きっかけになります。
電子カルテ自体、大きな病院ではシステムが数十億単位のお金がかかり、オプションや細かい追加項目があるそうです。
これだけの投資をしているにも関わらず、電子カルテは、不便だなとか使い勝手悪いと感じたことがある人の方が多いのではないでしょうか(実習で使うたびにもっと見やすくならないのか?AppleやGoogleが参入したらええのに…)とか思ていました(笑)
自社開発したカルテにもトラブルはつきものかなと思いますが、カルテ開発事業自体が、一般企業が参入できる余地がない点であり
一般のSEさんは医療職の経験がないことも多いですし、普通の医師はプログラミングに詳しくないことが多いこともあり、ソフト開発と医療の両方を兼ねそろえた人材の価値って実は非常に大きいのではないかと思いました。
こういった事業に興味関心のある医学生は、電子カルテを自社開発できる病院だったり、自大学で作る大学などに進むのも良いと思います。
(そして、使いやすいカルテを日本に普及させてくださいORZ)
今回で初期研修病院の選び方全7回を書かせていただきましたが、
稚拙な文章を読んでくださった皆さんありがとうございました。
医学生の方には病院見学を有意義なものに
病院の先生方は自分の病院の魅力を再発見してもらえたら嬉しく思います。
では、明日からMKSAP19が使えるはずなので早くと解きたいと心待ちにしながら今日はこの辺で…