臨床的腎機能評価②(MKSAP19)

 

いつもの前置き

はい、セレンです。今日は勉強会やその他の用事でかなり披露していたのですが、ベッドに入ると眠れないので、前々回の続きの記事を書きたいなと

 

前回は腎機能を見るうえでの生化学検査や尿検査に触れましたが…

もしよければ、こちらもご一読ください

sedoctor.hatenablog.com

 

今回は蛋白尿について勉強したいと思います。

 

尿蛋白

まず、尿蛋白が出たというときに、
尿蛋白あるから腎臓病だとかならないですよね…

何の検査でどういう所見が出たのか!というのが大事ですよね。

 

簡便にスクリーニング的には試験紙を用いた定性反応ですよね

精査には

・24時間畜尿

・スポット尿(随時尿)

の2種類が用いられますね…
24時間畜尿は入院が必要ですし、手間もかかるため多くの場合はスポット尿を利用しているようです。

尿蛋白/尿中Cre

尿中Alb/尿中Cre

のいずれかを評価すべきですね。

CKD分類もeGFRの軸と尿蛋白の軸がありますけど、どちらを評価しているのかも確認すべきだなと
以前述べたように、DM患者では、初期はAlb尿が主体なので、Albが測定できるが、保険の関係で基本は尿蛋白を測定するようです。基準値をきちんと覚えてなかったのですが、

尿中Albの正常下限が30㎎/day 
                 最重症度が300㎎/day

 

尿蛋白の正常下限が150㎎/dayらしいですね

ここごっちゃにしてても国家試験で困らなかったのですが、内科専門医試験に出たという先生の話を思い出して確認しておこうと…

 

で、ここで、
尿蛋白と聞いて、『結局何が漏れているの?』

と考えて、推論できるお医者さん目指したいので考えてみましょう(笑)

尿中のAlbを測定しAlbが漏れていれば分かりますよね…

ここで、さらにさかのぼるわけです。

蛋白質て体を構成しているけど具体的に何?

 

そこで、タンパク質を構造的な特徴や生化学的な特徴で分類するのも一つですが、

臨床的に検査がしやすいかつ、診断に結び付きうることを考えます。

 

蛋白質の大きさです

 

SI Selective Indexを測定してどの大きさの蛋白質が漏出しているかという試験もありますよね…

この図みなさんもご存じですよね

 

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広島市医師会だより第525号 付録

center201001-10.pdf (med.or.jp)

蛋白の電気泳動の図ですね

尿は糸球体で濾し出されますが、元をたどれば、糸球体で血液をろ過して不要な蛋白質を濾過するわけですよ。

 

糸球体に問題があれば濾過されている血中の蛋白質で最も多い蛋白質であるAlbが漏れ出るはずなんですね

 

漏れ出ている場合に、分子量の多いIgGなども漏れている場合はSIが小さい、重篤な糸球体疾患が考えられるようです。

 

疫学的には、生理的な蛋白尿が最多です

起立時や一過性のストレスで生じる蛋白尿で血中の蛋白分画に似るため、やはりAlbが高いようです。

 

実際,

尿蛋白にAlbが含まれない糸球体疾患は否定的です。

 

血中多いAlbがない蛋白尿は

 

①血中の異常な蛋白の漏出(←これは血中のTpとAlb測定)

②糸球体ろ過後の蛋白質再吸収障害

 

①は多発性骨髄腫など、抗体蛋白質が過剰に産生されて

Bence Jones蛋白などの低分子蛋白が漏出する

 

②近位尿細管の再吸収障害でFanconi症候群や間質性腎炎で尿中のβ2ミクログロブリンが上昇する。

 

尿中Albが陰性で異常な尿蛋白をみたら

蛋白質の分画を意識して、

骨髄腫類縁疾患や、近位尿細管機能異常を疑い

必要に応じて電気泳動をかけて評価してみるがよい

 

と今日は夜も更けてきたのでここまで

読んでいただきありがとうございます