反復する主訴、病態 (臨床推論)

いつもの前置き

はい、セレンです。
今日は毛色を変えて、臨床推論の話をしたいなと思います。
先日の臨床推論の勉強会で直感的な感性を磨くという話で女性の繰り返す腹痛と振戦で輸液を改善する、高乳酸血症という症例でした。

 

この一言だけで、鑑別を想定してみてという話題が振られて何となく、ショックバイタルにならないで、
-乳酸が上がるというヒントから家族性地中海熱?
-でも乳酸上がるんかな?
-ミトコンドリア病とかかな?
-でも、これ反復するんかな? 
-腹痛起こすんかな?

ほかの主訴で拾われるんやないかなとか色々考えていました。

自分よりもレベル高い学生が

ポルフィリア症

・鉛中毒

子宮内膜症

尿素サイクル異常

・腹部片頭痛

・腹部てんかん

などたくさんの鑑別上げているのみて勉強不足だなと反省して
反復する主訴について自分なりに考察してみました。

 

 

反復する主訴を推理してしみる

臨床推論をするうえで
私が臨床推論で尊敬しているS先生は
反復する腹痛といばFMFなどと一発診断を狙いにいき、当てたときは格好いいかもしれませんが、外れたときに、困るのは患者さんだ、鑑別リストにPit fallとしておいておくのは良いと思う。

決め打ちのSystem1はお勉強会や、選択式のテストだけにしなさい

と言われました。(笑)

推理をするうえでの根拠を重視するという考え方に沿えば

 

繰り返す腹痛  
⇒ 家族歴がある。
  イタリア人のハーフで小児期から定期的に体調が悪くなる
⇒ 地中海地域に多い遺伝病で、小児期から繰り返す体調不良 
⇒ 家族性地中海熱(FMF)かな?

 

もし電子カルテのAssessmentに
『〇〇先生の本繰り返す発熱はFMFを疑えとあり、本症例はFMFを疑う』と書いた日には上級医にしばかれそうですね(笑)

System1とSystem2とも違う気がするんですけど
臨床推論の考え方てこれかなと思うんですけど

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病態を理解することって、主訴から診断にじわりじわりと、もれなく近づけるイメージですね。

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上級医は蓄積された、System1とピポッドクラスターをふんだんに使い下の図のように、診断近くを瞬時に予測できる力がありますよね…

 

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厳密にはピポッドクラスター、System1と病態生理やSystem2は並列に同時に使うと思いますし、System1は経験がある程度必要とされるといわれています。

実際System1は早くて診断当ての臨床推論の勉強会では格好よく見えますが…

実は単純暗記でなく、病態や基礎医学の知識など要求されるSystem2的な考えを言語化して、使用できることの方が実は難しいのでは?と感じています。

 

実際、繰り返す腹痛を見たら自己炎症性疾患を疑えというようなパールはあるけれども、

どうやって繰り返しを推理するのか書いてある書籍は少ない気がします。

確かに胸痛や、意識障害などはたくさんありますが、特に慢性期の疾患については少ないのではないでしょうか?
実際は臨床像や患者背景が様々過ぎて、言語化が難しかったり一般化できないことも多々あると思いますが…

 

繰り返すの分類

これ以外にもたくさんあるんだろうなと思いながら

繰り返すということはどういうことか考えながら下の図のように分けてみました。

実際は問診で、どういう風に繰り返すのか?

また誘因となるものはないのか?といろいろ問診して情報を集めるの最重要だと思いますが…

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これらの考え方は、

①単発の発作性が繰り返している 
 特に、神経や血管の病変で、ストレスが外的な誘因で生じる
 時間経過や、随伴症状、身体診察が重要

 

体内で何かが蓄積、排泄されて、生化学的なトラブルを引き起こす

特に代謝系疾患や中毒・離脱に多く、職業などでの暴露、内服、食事、住居、ペット様々な影響を確認

③日内、周期的なリズムのある機能の異常

特に女性の場合は月経など、その他内分泌機能など

 

発作といえば、神経や血管

蓄積といえば、代謝や中毒

周期といえば内分泌と考えることで、問診で具体的に聞きたいことのイメージが付きやすくなりますよね

 

臨床推論 問診のルーチン患 者 背 景 
症 状 解 析 
三 子 
ミ 三 子 
主 を ( 滝 み 遥 の と ま )

ちなみにOSCE対策など含めて、自分なりに問診や臨床推論で考える時にこの項目を聞く習慣をつけるようにしています。

 

いわゆる型的な奴です。

 

何故、これ出してきたんやて話ですが、

さっきの

繰り返しについては症状の時間経過の波をきちんと記載して

増悪、完解因子を抑えて、

生活歴で職業や嗜好品、内服薬などはおおよそ聞くことができます

 

そこからペットや職業で、金属を扱うかどうかなど必要に応じて追加するには

 

病態別にある程度の鑑別疾患を上げておくことがも重要だなと勉強になりました。

 

まずは基本に忠実に患者情報としてルーチンで抑えながら、繰り返しと関連しそうな患者背景に突っ込んで聞き込めるようになりたいなと思いました。

 

臨床推論の勉強会などの後に気が向いたらまたこんな症候論のネタ書きたいなと思います。ではまた