マッチング論争(USMLEはマッチングに有利なのか?など)

 

いつもの前書き

はいセレンです。木曜日にマッチングの結果発表がありましたね。
私は光栄なことに、第一希望でだした病院にマッチすることができました。

沢山の病院見学だったり人一倍就職活動に力を入れてきた私にとってはいろいろ思うことだったり、いろいろ感情を整理して、次の目標である国家試験に切り替えたいと思ってマッチング全般について私になりに色々書いていこうともいます。

炎上しそうなタイトルつけましたが(笑)、TwitterUSMLEがマッチングに関連あるないという議論がなされていて、個人的に引っかかるなと思ったのは、おそらく勉強すらしていない人が語っておられたのがどうしても引っかかりました。

医学生はモテるのか?」という議論を医学生でもなければ、医学部受験もしたことがない人が議論しているのと同じくらいにおかしな話なんじゃないかな?とおもいました。

 

マッチング対策でUSMLEをするべきか迷ってる人も一定数いると思うので
一応取得して、マッチング試験の履歴書に書いた身として意見をつたえたいと思い書きたいと思います。

 

マッチング試験の本質

マッチング試験は、試験範囲だったり、明確な採点基準が不明瞭な試験で、おそらく社会人経験のない医学生にとっては初めて受けるタイプの試験だと思います。

確かに、医学部入学時の面接を受けることが多いと思いますが、基本的には面接で差がつくことはなく、非適合者をはじく役割で結局は試験の点数がものをいう試験だったと思います。
受けている病院が違えば条件は異なるわけで、私自身も面接の採点方式は知りませんし、全ての研修病院で統一された採用基準があるとも思えませんから、正直運の要素が強いので、基本的に、縁がなかったと思うのがよい思います。

2年間をともにする研修医をを数十分の面接で判断するのは、
ほぼ初対面の人とお見合いして恋人を選ぶのに近いのではないかと考えています。

 

マッチングの成功率を上げるには?

一介の学生である私が、偉そうに言うなよというところではありますが、マッチングの原則から当たり前に、成功率を上げる方法があります。それは

病院の採用担当に欲しい人材であると思ってもらうことです!

これに関しては誰も否定できないでしょうね。仕組み上、自分も相手も両想いでさえあればマッチするのですから。

 

どうしたら、病院が採用したいと思ってもらえるか?

私の考えではありますが、
病院が欲しい人材として、学生を評価するポイントは

・全病院に共通すること

・病院ごとに異なること

の2種類に分けて考えた方が良いのではないかと思ってます

 

全病院に共通する採用したい医学生、採用したくない医学生

この目次も中々に攻めていますが(笑)、全病院で評価基準が似通るような項目というのは、ある意味医学部受験で医師として問題がある人をはじくための項目に近いと考えます。つまりは、Negative selectionで、こういう人は働いてほしくないという評価基準が多いのではないでしょうか?

・コミュニケーションが取れない。

・身だしなみが悪い。

・態度に問題がある。

当たり前のことで、これらができていない医学生を病院が雇って、トラブルを起こした場合に、病院は責任を取らなければいけません。

問題を起こしそうな学生を初期研修医としては雇いたくないのはどこの病院でも共通しているのではないでしょうか。

Twitterでもここはみんな同じ意見だと思います。

要するに、恋人選びでも、どれだけ顔がタイプでも人格が破綻していて共同生活に問題があればちょっとごめんかなっておもいますよね…

 

研修病院に研修医に求められること

これは、持論になりますが、研修医が病院に必要とされる理由についてです。

そもそもの研修医の役割を考えましょう

・短期的な需要(研修医に対する補助金や労働力)

・長期的な需要(初期研修終了後を見越した先行投資的)

・研修医採用時の広告塔

の三つを見た方が良いと思います。

短期的な需要としては

大学の講義や国家試験に出ることはありませんが、研修医を有する病院は、研修医を育てる使命がありますので国から補助金がいくらか出ます。
例として、臨床研修病院加算といい、入院患者1一人につき、いくら余分に取れるという制度や、その他の医師臨床研修補助事業なるものも存在します、研修医は何もしなくても、いてくれるだけで補助金が入るというルールがあります

ただし、臨床研修病院は数年間研修医を取らないと取り消しになることもあるので、初期研修医が一人も来ない病院はどこも、かなり真剣に研修医を勧誘する傾向があると思います。

勿論すべての病院が補助金が欲しいだけで研修医が欲しいわけではなく、全国的にみれば医者は不足しているので、研修医時代は投資だと思って、育てて、スタッフになってほしい、ないし入局してほしいという長期的な目で研修医を欲しいという病院の方が多いと思います。

また労働力ですが、初期研修医がいないと救急が回らない病院も一定数存在します。
初期研修医が当直に週2回入り、救急車対応含めて、1stタッチで、たくさん経験が積めて良い医師になれると言いつつ労働力として期待されている病院もあります。
研修医が主治医でかつ持ち患者数が多い病院や手技ができるという病院は少なからず研修医に労働力を期待していると思います。

 

長期的な目で見たときの研修医の需要を考えると、

入局ないし、この病院で長く働いてくれそうな人材が欲しいとなると思います。
つまりは、後期研修以後も残ってくれる人材は得点が高くなるのではないでしょうか?

長期的に病院は医師を確保したいはずなので、恋愛的に言えば、結婚まで考えてくれるパートナーの方が魅力的なんじゃないかと思います。
長く残ってくれそうな人材かどうかは、地域の環境的な属性や学生が志望している診療科などが関わると思います。

・出身地である

・大学の地域である、仲の良かった先輩方が多い

・恋人ないし家族がその地域にゆかりがある

・病院内に親族がいる
といった項目があるのではないでしょうか?ここは面接でもよく聞かれるところだと思います。

また

・志望科がその病院が基幹プログラムを持っている

これも、3年目以降も残ってくれるのでは?という望みが増えそうだなと感じます。

 

最後に広告塔の役割ですが、

研修医集めは都内や都会の中心部などは勝手に集まってくる病院もあると思いますが、医師不足の中で、限られた人数の医学生を取りあうという戦争のようなものなので、
あの手この手で、学生を勧誘するわけですが、

・給料や福利厚生

・有名な指導医の先生

・カンファレンスなど教育体制

というようなことも一つの指標ではありますが、

研修医勧誘で一番大事なのはその病院の研修医なんじゃないかなと思います。

というのも、学生が研修病院を見学して一緒に行動したり、入職後にお世話してもらうのもその病院の研修医なので、研修医は研修病院にとっての顔になると思います。

・仕事ができる

・愛想がよい

・面倒見が良さそう

な研修医がいて活き活きと仕事している姿をみると学生は来年自分もここならこんな研修ができるんじゃないかと想像していますね(自分も最後はこれを基準に病院を決めました。
だからこそ、研修医は顔採用だとかコミュ力が大事とささやかれているのではないかと思います。

原則的には、雇いたくないネガティブなポイントがないこと+病院にとって雇うメリットがある人材から順に採用したいと考えるのではないでしょうか?

 

 

本題?のUSMLEなどがマッチングで有利なのか?

タイトルで釣りましたねって怒られそうなくらいに長い記事になっていますが、
Twitter論争であったUSMLEや部活の主将は有利に働くのかって話ですが

USMLEを持っているからほしい ⇒ 採用

部活動の主将をやっている ⇒ 採用

とはならないと思います。

とはいえ、CBTが高得点だったり、USMLE持っていたり、GPAが高い人や部活で実績ある人が希望していたマッチ先に決まることが多いと感じるのも確かですが、

私は交絡因子的なものだと考えています

 

Twitterなどで多く見られる意見やマッチング対策本にあることは、
減点評価を食らわないためにはどうしたらよいか?良いことにばかり着眼されているように感じます。
確かに自分の周りでも他学部の友人に比べると就職活動に対する最低限のラインが医学生では低いので、一般的な就活のマナーを身に着けて減点評価を食らわないだけで相対的に評価されうるのは事実ではあると思います。

一方で、マッチング関連書籍やSNSなどを介してマッチングのマナーが医学生でも容易に入手しやすくなり、ある程度倍率ある病院を考える人なら、最低限のマナーが身についているケースが増加しているのも事実ではないでしょうか?

私の持論ではありますが、全国的な医師不足からも、需要>>供給という条件ではあるので、医学生は就職活動でどこにも就職できないというケースは少ないと思います。就職したい病院が、定員と同程度の募集しか来ないのであれば、減点評価を食らわないだけで、基本的には採用という流れになると思います。

一方で、定員以上に募集がかかる、中間発表だけで定員の数倍の希望者がいるような病院は、点数化して誰を雇うかを決めなければならないので、多くの申し込む人達の就活マナーがある程度のレベルを超えていれば、加点評価でほしい人材から順位付けするのではないでしょうか?

ただこの加点についてはおそらくですが、病院ごとに価値基準が違うので、万人受けする加点ポイントというのは正直ないと思っています。

恋愛での筋トレをイメージするとわかりやすいと思います。筋肉フェチの人にとっては筋トレで鍛え上げられた筋肉は魅力的な相手の条件になりますが、筋肉に興味がない人にとっては合ってもなくても評価は変わりませんが、

筋肉に対してストイックなように君に対しても一途でありたいというアプローチは、筋肉に興味がない人にとっても魅力的と感じるポイントに変化しうると思います。

USMLEをはじめとして、CBTの高得点や部活での主将や幹部経験、GPAの好成績、研究した業績、ボランティアは全て事実に基づく客観的な個性となります。

最低限の就活マナーがある前提で、数分から数十分の面接で順位が付くことを考えると

私が思う病院から加点されるための具体的なアクションプランは下の図になると思います。

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①相手の需要を理解する&②病院の需要を理解する力
恋愛でも、まず気になる相手の好みを調査しますよね、それをどれだけ正確にくみ取れるかが大事だと思います

③自分を客観的に評価してもらうための個性

たった数分のお見合いで自分の人間性を評価されるなんて不当だという意見もわからなくもないですが、この短時間で評価される条件に関しては基本的には平等です。
このルールの中で、相手に自分の魅力を伝えるための個性が必要です。
これに関しては履歴書を書いてみると良いと思います。私は、履歴書に書くことが難しい長所はあまり客観性があるポイントとは言えないと感じます。

④自分の個性が病院を雇うことにメリットがあると伝える能力

筋肉フェチでない人に対しても、筋トレを続けるストイック差をアピールすることが相手にとって好印象だったり、これはケースバイケースで難しいところですが、人の気持ちを理解する上で大事なことだと思います。

 

いわゆる②と④を行ううえで最低限のコミュニケーション能力が必須でこれが最重要といっても過言ではありませんが、③の客観的な事実がない場合は、非常に軽薄なアピールになると思います。

採用担当は基本的に医師が関わることが多く、そういう役職の先生は研究などをしてきている先生が多いと思います。論理に矛盾があるようなプレゼンをすれば簡単に見抜かれると思いますし、猫をかぶって自分を演出すればよいのかもしれませんが、嘘が発覚した際に失う信用や信頼を考えると個人的には、本番だけやたらと取り繕うことは悪手でないか?と思います。

③の客観的な事実として自分の個性を短時間の面接で主張するならば、USMLEやCBTの成績、GPA、部活動の実績、ボランティア経験、研究実績ははっきり言ってかなり強いと思います。

加点評価されなくても通る場合は正直なくても良いと思いますが、医学生の就活マナーが身についていて、そのうえで順位付けをしなくてはいけない病院では、埋もれないように自分をPRしなくてはなりません。
一概に関係ないと言い切るのも非常におかしな話だと思いました

 

USMLEや部活の幹部をマッチングのためにするべきか?

これも人によるので一概には言えません

マッチングのことが気にかかる医学生は、USMLEとか部活とかの前に、とりあえず気になる病院や知っている病院の採用情報のページから履歴書をダウンロードして書いてみると良いともいます。

もし、履歴書に書けるようなことが今の時点で十二分にあって相手に自分の魅力を伝える自信があるなら、わざわざする必要はないと思います。

ただおそらくですが、多くの医学生は、本当に書けないと思います。自分将来どんなことをしたいと思っていて、どんなことをしてきて、なぜこの病院で働きたいと考えるかを自分の言葉で伝えることができる人は少ないと思います。

卵が先か、鶏が先かという話に近いですが、将来何したいかなんて、いろいろなことに挑戦して考えがまとまるものと私は考えています

なので、書くことがない人はとりあえず目の前で挑戦できることに自分の余力の限り挑戦してみてよいと思います。

私は成功体験だけが、自分のPRに使えるとは思っていません。

挑戦の末の挫折は立派な経験でそれを元にこういうことがしたいという意見も論理がきちんと知れば立派なPRだと思います。

一方で、何も挑戦しないままに6年間を過ごすと、履歴書にかけることは本当にないと思います。

自分が部活をやっていて、来年役職が回ってくるときに、幹部の仕事やってくれない?といわれたら引き受けてみたり、先生に誘われた研修室に通ってみるなど

一見すると、無駄だったり、いわゆるコスパの悪いことこそ、個性であり、強みだと私は思います。

ただ、部活に入っていない人がマッチングのために部活に入って幹部や運営をするという話や、勉強が好きでもないし英語に興味関心もないのにUSMLEの勉強を始めることが必ずしも良いとは思いません。

(人に寄りますが)USMLEはStep1に合格するだけでも、相当な時間とお金を代償にします。私は1年間毎日平均4時間はStep1の為だけに費やしたと思います。お金も受験料と教材代や交通費などで30万円近くかかっています。

それに必ず受かる試験でもないので、はっきり言って誰にもはお勧めしません。

貴方自身が医学英語に興味があったり、基礎医学の勉強してみたい、医学が単純に楽しい、臨床留学に興味がある人がマッチングでPRできるかもと、背中を押されてはじめて見るのは全然良いと思います。

それに病院によって、海外に行くプログラムを持っていたり米国帰りの先生がいる病院だと魅力的に映るかもしれませんが、入局してほしい、スタッフとして残る人を欲する病院は、将来海外に行きたいというアピールはむしろマイナスになるかもしれません。

 

USMLEやCBT高得点、GPAや研究実績があるという事実に対して、自慢だ、鼻につくという意見も散見されましたが、大ぴらに言いふらすのはセンスがないと思ってしまいますが、数十分程度の面接で自分をPRするには、それくらいの自慢をしないと差がつかないし、日本人の苦手な自己主張をする必要もあると思います。

あとは当たり前ですが、資格を保持することやそれに向かって努力することと、それをひけらかすことは全くの別物で、医学生の狭いコミュニティでは、出る杭を打ちたがったり、足を引っ張って相対的に自分が上に立ちたいという性格の悪い人も一定数はいるので、

自分が持っていないものについて悪く話したがる人は基本的に妬みと僻みが入っているとみて、聞き流すほうがいいと思います。

私は大学一年の時に部活の先輩に「生化学の試験は一夜漬けで大丈夫ですよね?」と聞いたときに、「俺が大丈夫ていえば、安心するかもしれんけど、落ちて留年しても自己責任だからね、不安に思うくらいならきちんと勉強した方がいいよ」と留年経験のある先輩から言われてハッとなったことがあります。

〇〇をしなくていいよという人はそのあと後悔しても何の責任もとってはくれません

最後に

結論からいうと、自己責任で初めて見たら良いと思いますが、自分で履歴書を書いてみて、自分にアピールするポイントが見つからなかったら、目の前でぶら下がってる挑戦の機会に手を伸ばしてみると何か変わると思います。

チャンスの神様は前髪しかない、だから逃すなとい諺もありますが、

同級生でアンマッチだったり、マッチングで思うようにならなかった同級生を見ていると後悔はしてほしくないなと思います。

○○なんてしなくていいと言い切ってもらって今の不安を解消して満足ならば、それでよいと思いますが、そういう人無責任です。

マッチングで結果がどうであれ後悔が少なくなるように全力を注ぐことも良いのではないしょうかという提案でした。

 

かなり長文になりましたが、参考になれば幸いです