パーソナリティとメンタル

 

いつもの前置き

はいセレンです.前回の記事で教育についていろいろ難しいと考えていたのですが,本質的な難しさは単純な知識の伝達ではなく,対人関係の中で行動変容を促すための情報の伝達だということを何となく書いていた気がします.

また,初期研修医になるのが近づいてくるに連れて,初期研修でメンタル面で不調をきたす話もチラホラ聞く中で,ストレスやメンタルについても関心を持っていました.

相手を知り己を知れば百戦危うからずではないですが, 

教育を対人競技と置き換えれば,自分の特性を知り,相手の価値観や人柄を知ろうとするという意味で,精神医学の人格という分野のパーソナリティとパーソナリティ障害について書かれた本を読んでみました.

 

パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか (PHP新書) | 岡田尊司 | 家庭医学・健康 | Kindleストア | Amazon

 

医学教育や対人関係,精神医学に興味がある人にはもちろんですけど,Step1の試験の行動医学でも結構出題されるけど,洋書呼んでもイメージしにくいのでとりあえず日本語で読みたい人にもお勧めです

医学書に金銭感覚壊されてるので1000円しないのでお買い得と,速攻でポチリました(笑)

 

パーソナリティー障害や人格とは?

おそらくパーソナリティー障害といえば,医師の界隈では「境界性パーソナリティー障害」が一番メジャーなのかな?と(これだけ国家試験での出題頻度が高いので…)

疾患の自然歴や専門家が見る中でどういったエピソードで医師の前に現れるか書いた「診断のゲシュタルトとデギュスタシオン」という本に,境界性パーソナリティー障害のページがあり読んで驚いたのは, 特効薬が存在しないということでした.

そもそも,脳の代謝産物の異常ではないから伝達物質を弄る薬物での治療が難しいというものでした.

育ってきた家庭環境や人間関係で形成されるもので,ある種の個性や性格と呼べる間はパーソナリティーであり,その個性や性格が強すぎて,社会生活に支障をきたすとパーソナリティー障害というらしいです.

 

パーソナリティー障害はDSMⅣでは10種類あるそうです(DSMⅤも種類は一緒)
Step1やCKの行動医学でもゴリゴリ出題されます(笑)

パーソナリティー障害とは - 医療総合QLife

 

 

重要なのは

  • これらは白黒つけることが難しく,グラデーションの地続きになっている
  • 複数の人格を有することもあり,時には一見正反対の性格を同時に有することがある
  • 性質に関しては良い・悪いの二元論ではなく,使い方次第では天才や鬼才の類にもなる
  • 性質については,育った家庭環境が大きく関与するが,終生変化しうる

これを見た感想は,ポケモンのタイプ見たいなもので,相性を理解して,どのタイプで接するかを変えれたら強くない?(笑)

Personarityの語源はPersona(仮面)というように,本来,人格は仮面のように付け替えられ場所に応じて適した仮面をかぶることが,現代社会で生きるうえで重要と考えると

もうあれですね,ポケモンと違い技の制限は4つではないので,特性:へんげんじざい のように,対面相手に応じて,タイプを変化させて上手く刺さるような介入ができることが自分のやりたいことなのかな?(笑)と

目指せゲッコウガ!!(笑)

 

精神的なストレス

人格の理解とどう対面しどう接するかを今後,取り組むことで,対人関係がうまくなればその恩恵も大きい反面,このように,対人関係を気にしすぎることは,おそらく精神的にかなり負担の大きいことなんだろうなと考えます.

私が医師人生を今後歩むとして一番恐れていることの一つがバーンアウトやメンタルの不調です.それについて考察したいなと…

初期研修に関してですが

巷では,「ハイパー病院でメンタルが病むからハイポな病院がいい」とか,「いわゆる学生時代に意識が高い人が挫折して,メンタルに不調をきたすから学生時代は遊んでおけ」という話があります.

これらについては間違ってはいないものの,本質をとらえていないのでは?と思っています.

私の先輩の話ですが,

仕事量が少なくて,何もしていないけど,給料が良く定時で帰れるという,所謂ハイポ病院で研修している中で研修病院を変えたい,このままでは精神的に不安定になりそうという方がいます.

一見すると,ハイポ思考の人にとってはうらやむ環境なのかもしれませんが,よく話を聞いて見ると,「当直中患者が来ても起こされない,手技はしないでいいし簡単な雑用を少しするだけで高額な給料をもらえるが,達成感もないし,技術も仕事も何一つ覚えられないで初期研修以降のキャリアに不安を抱えてる」ということでした.

実はこの方,ハイポ病院に行きたくていったのではなく,二次募集で,空いている病院で条件も良さそうだからとりあえず就職を申し込んだということでした.

別に勉強をするのが嫌いで給料と休日が何よりも重要という価値観ではなかったということです.

一介の学生が何を言うんだてことは承知で私の見解を申すと

精神的なストレスて,現実と理想のギャップの大きさによって生じるんじゃないかなと思っています

 

実際,ハイパー病院で鬱になるというのは,「理想では仕事を処理ができる自分」と「処理しきれない量の仕事」の解離で自己実現が困難になる.

「学生時代は優等生といわれていた自分」と「全国の優等生が集まる病院では,凡庸むしろ仕事ができないという相対評価」のギャップ

ハイポ病院で鬱になってなっていた先輩は「研修医としてバリバリ仕事を覚える理想の研修」と「チームの一員として頼られない現実」のギャップがあったのかなと…

 

ストレスの多い研修に向けて今からできること

自分を知るという意味で,性格診断のセルフチェックを行ったときに

パーソナリティ障害の疑いとまでいかないものの

- 自己愛型パーソナリティ

- 演技性パーソナリティ

- 強迫性パーソナリティ

のチェック入る項目がありました.

要するに,自分に自信があったり,自分は人と違った何かがあるんじゃないかとかそういった意識が一部にあって,少し見栄っ張りな性格があって,一度やると決めたら周囲を介さずとことんやる性格ですね(笑)

まぁ,これらの性質は私自身の勉強や活動の原動力でもあり,他方で空気を読まないとか,周りと足並みそろえないとか,ちょっと目立ちたがりなところとか,プライドの高さと人間関係ではマイナスに取られうる性質もその通りだなぁ(笑)と思ってみていました.

かくいう私も,所謂全国から,研修医の集まるハイパー病院で研修予定なので,

大学の中では,周囲から良くも悪くも浮いてる存在であったけれど,初期研修になると環境もガラッと変わり,全国からやる気があって優秀な同期の中で自分の立ち位置を確保できずに,理想と現実のギャップが… なんてこと,あり得るんじゃないかなと思いました.

 

そんな恐れるバーンアウトにならないために

  • ①周囲と比較しない
  • ②短期的な目標と長期的な目標を設定する
  • ③理想に近づくための努力をする
  • ④現実で定期的に打ちのめされる

この4点が自分にとっては大事なのかなと…

①が前提なのですけど,基本的に,大学の国家試験以降の医師のキャリアはみんなバラバラで,みんなが己の得意分野や専門性を獲得するので,〇〇さんに比べて私はとへこむのも論外ですし,特に私の研修予定の病院では大学もかなりバラバラなので,これまで学んできたバックグラウンドが違うという「みんな違ってみんないい,その強みを共有できるような関係を構築すべき」と考えたいです

②みんな違ってみんないいや平和的で闘争心を失いすぎてもレジリエンスがなくなり,性格はいいけど仕事ができないとか,意欲だけあるタイプに人間になるので,夢や理想をもって,他人を巻き込まない形での闘いは続けていきたいので,長期的な目標と,日々の達成感を得て精神的に充実できる短期的な目標に分けて設定したいと思います

③そもそも,自分が理想通りに,仕事もプライベートもみたい,研修医でする仕事や必要なスキル事前に予習したり準備しておくことも,自分の成長につながりますし,ギャップを埋めるための努力はできる限りしたいなと思います.

④これはありがたいことに全国の優秀な同期らと定期的に勉強会をさせてもらう機会があるので,自分がどれだけ勉強しても,自分以上に知識を持っているすごい存在を体感することで井の中の蛙であることを痛感して,理想と現実を補正してくれる効果もあります(笑) もちろん,お互い勉強したことを遠慮なくぶつけ合う場で知識や考え方を共有しあうことが本当の目的なのですが,行く度に自分の足りなさを教えてもらえる最高の環境です.

 

人間関係や精神的なストレスは目に見えないし,自分が気が付かないうちに自己満足を押し付けていたり,ストレスをため込んでバーンアウトというのは怖いなと…