蛋白漏出性胃腸症について
いつもの前置き
はい、セレンです。
本日の勉強会で、蛋白漏出性胃腸症的な病態が出てきたときに
名前はよく聞くけど
詳しく調べたことねぇ、そいや機能蛋白尿について調べていろいろ書いたなぁと思い返して
蛋白漏出性胃腸症について調べてみたので
書いていこうと思います。
蛋白漏出性胃腸症(PLE)とは
これ、CKにも出てこないですし、MKSAP19にもなかったので今回はDynamedで調べてみました。
てかCKでも見たことないので、これ英訳知らんぞと思い調べたら
Protein Losing Enteropathy (PLE)と名前まんまですね。
いかつい名前ですが
定義:
血清蛋白質が消化管に過剰に排出され、低蛋白血症とその影響を引き起こすまれな疾患
稀なんですねてか、名前通りなんですけど名前が仰々しいですよね…
いっそ分かりにくいので蛋白便と呼びたいですね(笑)
蛋白漏出性胃腸症の患者像
・慢性経過の浮腫(最も一般的)
消化器症状
下痢や脂肪便
嘔気
腹部膨満
体重減少
腹水
肝不全
栄養失調と成長不良
胸水貯留など
蛋白漏出性胃腸症の病態
これが大事ですね…
3つみたいです。常識なのかなとか思いつつ、知らなかった自分を戒めます
①消化管粘膜の障害
②血管透過性の亢進
③リンパ管機能低下
①は当たり前ですよね、クローン病やセリアック病などですね
粘膜の破綻部位から漏出しそうですよね…
②血管透過性の亢進、これは炎症やアレルギーみたいですね
代表はSLEやアレルギー性腸炎
③リンパ管機能低下、中心静脈圧の亢進が胸管などのリンパの合流部にも負担をかけて、消化管内の毛細リンパ系に影響を当てるのでしょうか。
収縮性心膜炎や心不全、肝硬変の報告があるほか、DynamedではやたらFontan術後にトラブルがあるという記載が目立っておりました。
私も実際に蛋白漏出性胃腸症の患者さんを診たのはFontan手術の既往がある患者さんでした。
実はFontan手術名前は聞いたことあるけど小児心臓血管外科に行くつもりないなと
外科のテスト以来きれいに忘れていました…
ということでなぜかFontan調べました
Fontan手術(フォンタン手術)について大雑把に~先天性心疾患の全体像〜 その3 基本14 - 誰でもわかる先天性心疾患 (inishi124.com)
こちらの方のサイトの図が非常に分かりやすくて拝借させていただきました。
グレン手術後にFontanでSVCとIVCがともに肺動脈につながる形になる手術です。
Fontan調べる時是非ご覧くださいこの方のページでも
CVPが高いことで生じるPLEとその予後の悪さについて分かりやすく記載されております
今後、病院総合医の需要を売り出していく上でトラジションに携わる機会やそれに関心を持つことは重要だと感じていたので改めて勉強できてよかったです。
つまり既往歴を確認すると同時に、蛋白漏出性胃腸症疑うのならば心エコーで中心静脈圧を評価して、心不全や肝硬変なども除外する必要があるのだと勉強になりました。
他の鑑別疾患
蛋白漏出性胃腸症を疑えることは格好いいですが、稀な疾患いわゆるゼブラ的な存在でもあるので、
低蛋白血症の場合
①蛋白質の産生、摂取の低下
肝機能障害、栄養失調
②体外への喪失
ネフローゼ、重症熱傷
蛋白漏出性胃腸症も体外への蛋白漏出というくくりに入れてよいでしょうね
先日書いた、蛋白尿も同じなんですが、
①と②の鑑別を行ううえでは
蛋白漏出性胃腸症の血液検査では、
半減期の長い血中蛋白の喪失が目立つとありました。
臨床と検査-病態へのアプローチ-
というサイトから借りてきましたが
慢性的な低蛋白の患者さんで、
ごはんが食べているなら、
肝機能の評価や蛋白尿の有無を確認して
ひょっとしての落とし穴に蛋白漏出性胃腸症を疑って
心エコーやCVP評価できる医師になりたいですね~
今日はここまでで
読んでいただいたかたありがとうございました。