腎機能
はい、セレンです
いつもの前置き
色々忙しいのを理由ので勉強できていませんでしたが
同級生のレベルの高いアカデミックなブログ記事を読んで、ゴシップみたいなネタを書いていないで勉強しなくてはいけないと思いました…
実はMKSAP19を購入しており、毎日解きながら、ネタにしようと思っていたのですが、
8/31リリースなんですよね…
アカデミックな統計の評価に自信がないけど
ちょっと背伸びした勉強がしたいということで、
Reviewを読んでみたいと思います。
学生で背伸びしたい人、英語文献に挑戦したい人は
Pubmedで下のように検索の際にReviewを選択して読んでみると良いかもしれません。
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表題の腎機能障害ですが、
何となく、Creや尿量や尿蛋白、血尿がでて
確か3カ月くらい持続したら、CKDだったけな?
くらいの適当な把握をしていました
一応国家試験としては
急性腎障害の概念
〔概念〕
様々な原因により急激な腎機能低下を来した状態.腎障害を早期から診断・介入することで,不可逆的な腎不全への進行を阻止し,予後を改善することを目標として提唱された概念である.
※従来は急性腎不全(ARF:acute renal failure)とよばれていた.
<Year note 2022より引用>慢性腎不全の概念
〔概念〕
腎障害が慢性的に持続する病態すべてをとらえる疾患概念.
※数ヵ月以上の経過で腎障害が進行し不可逆的となった状態を慢性腎不全(CRF:chronic renal failure)と呼び,CKDのステージG3以上に相当する.
<Year note2022より引用>
おそらく入院患者さんで腎機能が悪い患者さんの管理は必ずすると思いますが、
何となく腎機能悪いなぁ、脱水かな?尿閉あるかな?という
根拠なく疫学的な理由から狙いうちをしにいくSytem1的な発想は5択の国家試験でみんな選びそうなものを直感的に選ぶうえで重要だと思いつつ
いつか痛い目をみるんじゃないかと思いながら、
基礎的な病態なども考慮しながら、組み立てる思考と、疫学的にこれが多いよなという知識を勉強できたいいなと思いました
腎機能の評価を勉強しながら、AKIの対応などについてまとめていけたらいいなと思いました。
AKIの論文16ページあるーと思いながら
読み進めつつ
いまReviewをどうまとめるかという難題に頭を抱えています。
本日はとりあえず腎臓の機能について考えたいと思います。
腎機能
これ、基礎医学でやりましたよね…
分け方でいろいろあると思いますが、
<人体の構造と機能第3版によると>
4つで
水・電解質の調節
酸塩基平衡の調節
蛋白老廃物の代謝
①水、電解質の調節
まずは水分の調節についてですが、
⇒原尿の生成、濾過、水・電解質の再吸収
腎臓は人体の循環血液量の25%が流れ、
流れた血液の20%が糸球体で濾し出される。
そしておよそ99%が尿細管で再吸収されて尿になる
一日あたりの尿量や、一時間当たりの代替の尿量は
尿による排出を決めるのは
・腎血流を規定する循環血漿量(飲水や出血、3rdスペースへの水分の漏出)と、
・腎臓から、糸球体でどれだけ濾過できるか
・尿細管でどれだけ再吸収されるか
が重要だと思います。
電解質の再吸収についてはFirst Aidの図を借ります
First Aid2020 p573
近位尿細管はいろんなブドウ糖や重炭酸イオンやアミノ酸、
Naなど重要なものを多く再吸収しており
障害されたFanconi症候群では沢山のものが尿から駄々洩れてイメージですよね
あとはPTHが作用して、リンの再吸収を調整するところでもあります。
ヘンレは下降脚で間質浸透圧が高いところを徐々に流れていくことで水分を可能な限り再吸収して、
再度、間質浸透圧が下がってくる上行脚の太い部位ででNa,Clを再吸収します。(ループ利尿薬の作用部位ですね)
CaやMgを再吸収する部位なので、ループ利尿薬を使用してこのイオンチャンネルをせき止めると尿中Caが高くなり、結石リスクが上がることも…
遠位尿細管の近位部では、Na Cl共輸送体があり
PTHが作用して、Caの再吸収も行います。
⇒PTHの作用部位が前述の近位尿細管とここであり、偽性副甲状腺機能低下症の病型を知る際のEllsworth-Howard試験でポイントになります(国家試験では外れ選択肢でしか並んだことないですが(笑)でるかも?)
サイアザイド系利尿薬の作用機序でもあります。
前述のループ利尿薬との大きな違いは、寧ろ尿中のCaが低下することです。
このループ利尿薬とサイアザイド利尿薬の副作用の尿中Caの違いが、先天性のチャネル障害のBarter症候群とGittelman症候群の鑑別に有用です。
集合管で、アルドステロンとADHが作用すると
アルドステロンのH+の話はあとで話しますが、
レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系といわれ、
腎臓から分泌されたレニンが肺でアンジオテンシン変換酵素を活性化させて、アンジオテンシノーゲンがアンジオテンシンIIとなり、副腎皮質球状層から分泌されます。
国家試験レベルでは、Naを再吸収してKを排泄する機能と知られていますね。
ADHは下垂体後葉から口渇(浸透圧上昇)をトリガーに分泌されて、アクアポリン4という水だけを通すチャネルを管腔に開いて、水の再吸収を行い、血症浸透圧を低下させます。
腎機能障害=eGFRの低下&尿量減少と考えがちですが…
メジャーな例外としていわれている
初期の糖尿病ではむしろeGFRが増加して尿量も減少しませんよね
だからこそ糖尿病腎症はアルブミン尿で初期は評価する必要があるという話、
またとりあえず糖尿病腎症にRAA系の降圧薬が用いられると
単純暗記していませんか?
Q:糖尿病の初期になぜeGFRが上昇して、RAA系の薬剤がDM腎症に有効なのか?
A:血中の高血糖が糸球体ろ過後の高血糖の原尿となる
近位尿細管でGlu輸送時にNaを共輸送する。
遠位尿細管で低Naとなり感知した傍糸球体装置からレニン分泌が亢進して、腎血流が増加しeGFRが高くなる
過剰な濾過が続くことで糸球体が障害を受けて、進行するにつれて腎機能eGFRも低下する
つまりは、Naを共輸送するのを阻害するSGLT2阻害薬てめっちゃ効果ありそうですよね
はい、文献はお出ししませんが、効果ありますよね!
ここは、知ってるとおおってなりそうですよね
ちなみにUSMLE Step1ではヤマなので、米国では標準レベルなのかも?
②酸塩基平衡の調節
肺とともに腎臓は酸塩基平衡の中枢を担いますよね
体内のATP産生活動における酸化反応で蓄積する
酸性物質のうち、不揮発酸は呼吸から捨てられないため、 腎臓から排泄されます。
AG≒不揮発酸と評価できるため
代謝性アルカローシスの評価にAGが重要ですよね。
不揮発酸といえば乳酸が代表で、敗血症の時など重要ですよね。
酸塩基平衡についてですが
ここは
近位尿細管で重炭酸を再吸収して
遠位尿細管で水素イオンを排泄します。
近位尿細管に関しては、重炭酸の再吸収を阻害してして、尿中から重炭酸イオンを捨てさせるアセタゾラミドという薬がありますね…
国家試験で見たことないですが、噂のUSMLEでは必ず聞かれる用途があります。
それは… 高山病です。
高山病は空気中の酸素濃度低下を感知して、呼吸回数を増やしてしまうことで、換気量の増加で二酸化炭素の排出が増えて呼吸性にアルカローシスを起こしてしまう病気です。
よく登山家が息を荒立てないように上っていくのは呼吸回数をいたずらに増やさないためなんですね。
近位尿細管は深く理解しなくてもよいのですが、
遠位尿細管もとい集合管については遠位尿細管性アシドーシスを理解する上ではチャネルについてある程度勉強するほうが丸暗記に頼らなくてよいのかなと思います。
国家試験111I9という問題で、
遠位尿細管性アシドーシスの病態は集合管にあるという知識が問われる問題がありましたね…
正答率は22%でしたが、国家試験は過去問を経ると正答率爆上がりするのでこれからの受験生は近年の問題なら捨て問にできませんよね…
では、教科書から引用させていただきますが
First Aid2020 P573 から
きちんとアルドステロンの作用部位は集合管になっています。
噂のStep1のバイブル First Aidさんの画像をお借りします。
分かりやすいので基礎医学と英語に興味ある人は買ってもいいと思います。
Principal cellこと主細胞がAldsteronの作用で、Naの吸収Kの排泄を行い、その際の管腔が負に荷電したところでα-intraclated cellからH+が捨てられるようです。
アルドステロンはNaを再吸収してKを捨てるとだけ覚えないで
アルドステロンは集合管に作用して、Naの再吸収と、KとH+の排泄を促進すると覚えましょう
原発性アルドステロン症などで血中低KでH+が細胞内に移動して、代謝性アルカローシスという覚え方をするより、アルドステロンが集合管のH+排泄を行うと覚えていきましょう!
尿細管性アシドーシスの分類は
I 型、II 型、IV 型と三種類ありますが
II型が近位病細管でHCO3の再吸収が弱いため、尿のpHも比較的大きいもの
I型はIntrclated-cellからH+が捨てれないもの
IV型はアルドステロンの作用がそもそも問題があるものと理解でき、血中のKが高値になる理由が分かりますよね。
③蛋白質代謝産物の排出
eGFRは血中のCreを用いて簡便に糸球体ろ過率を予測したものですが、これは、血中の不要な蛋白質クレアチニンが
腎臓で濾過されて、尿細管で再吸収や尿細管からの排泄が少ないため用いられる指標ですよね。
年齢と性別とクレアチニンで簡易測定して言いますが、
クレアチニンという物質自体が、クレアチンという
ATPリン酸結合のエネルギーを効率よく取り出すために
筋肉内に存在するクレアチンという物質の老廃物がクレアチニンです。
アスリートの方はご存じと思いますが、クレアチンをサプリで摂取することもあるため。筋肉量が同世代の人より少ない場合は
なので、
筋肉量が多い人は腎機能が低く見える
一方で、サルコペニアのように筋肉量が低下している高齢者では見かけ上のeGFRは高くみえますよね…
影響を受けないで評価するために
めんどくさいイヌリンクリアランスや
シスタチンCを代用したりします(小児ではシスタチンCが良く使われています)
④ホルモン分泌
ホルモンについては
・レニン
・ビタミンD3活性化
の機能がありますね。
レニンですが、先にアルドステロンの作用の時に述べましたが、アンジオテンやアルドステロンを作ります
遠位尿細管周囲の緻密斑にある傍糸球体細胞が遠位尿細管でのCl濃度の低下を感知したり、β1刺激で分泌が促されて
アンジオテンシンIIは輸出細動脈を収縮させて、濾過を増加
全身の血管平滑筋を収縮させて血圧を上げる。
アルドステロンはNaとCl再吸収を増やす
高血圧に関連が深く、
RAA系として、高血圧治療のターゲットとなっています。
レニン阻害薬はあまりメジャーではありませんが、
ACE阻害薬(-プリル)
ARB(-サルタン)
が有名ですが、最近心不全界隈で有名な薬が出ましたね
そうです
ARNIですね
アンジオテンシン受容体阻害薬+ネプリライシン阻害薬
バルサルタン+サクビトリル (サクビトリルバルサルタン商品名エンレスト)です。
ネプリライシンがBNPやANPとアンジオテンシンを分解する作用があるもので、
BNPやANPの効果を高めると同時にアンジオテンシンも上昇してしまうのでARBでアンジオテンシンを抑え込むという
HFrEFにエビデンスがでた治療ですね…
今後国家試験でも問われてくるかもしれません。
エリスロポエチンですが、
腎不全でエリスロポエチンが分泌不全になり腎性貧血を起こす話を皆さんご存じですよね…
これも腎臓の間質細胞が、分泌します。
一昨年くらいのノーベル賞がHIFだったの覚えていますか?
Hypooxygen induced factorで、低酸素応答因子ともよばれており、通常は分解されるが低酸素時には分解されず、転写調節に働きEPOの産生が促されるもので、
一部の腎細胞癌でVHL遺伝子とHIFの経路、多血症をきたすメカニズムで話題でした。
慢性的に腎機能が低下している患者さんでは腎性貧血を起こすことがあり、EPO製剤による治療もありますね…
ビタミンD3活性化
これは、PTH刺激でビタミンD3の活性化が促され、
腸管からのCa吸収を促進します。
人体の正常構造と機能から引用しますが
Caの調整は非常に複雑です。
腎不全では
CKD-MBDという概念が提唱されており
腎臓からのリン排泄低下
から始まり、リン排泄を進めるため
骨からのFGF23分泌、高リン血症に伴う血中Caの低下、
PTH分泌が促進されて、結果骨吸収が増える。
OKD0052_KKC-2020-00059-1_A4 (kyowakirin.co.jp)
協和発酵キリンさんのCKD-MBDの解説が非常に分かりやすいです。
高リン血症が骨代謝障害のベースにあり
FGF23は腎臓からP排泄を促進させる因子として骨から分泌される
CKD-MBDに保険適応はないが、FGFを過剰に産生して、VitD産生を低下させることによるくる病などの診断に用いることができます。
はい長くなりました、これ書いてる時間で文献を読む時間はまた取れませんでしたが…
基礎医学のベースの良い復習になりました。
みなさんのお役にたてれば幸いです。